2軸で読み解く、イノベーター人材の志向性と事業適性
以下の図をご覧ください。縦軸は「新規事業に取り組むモチベーションのタイプ」、横軸は「重視する観点」を表しています。
縦軸は、大きく分けて「ビジョン」や「Will(やりたい)」を重視するタイプか、「ミッション」や「Must(やらねばならない)/Should(やるべき)/Can(できる)」などを重視するタイプかで区別しています。前者は「自分のやりたいことや、描く未来を実現したいという想い」が源泉であり、後者は「貢献意識や使命感」が源泉となっています。
一方、横軸は「プロセスよりも成果や業績を重視し、会社や周囲からの称賛を大事にする傾向が強いか」、あるいは「成果よりもプロセスを重視し、自身の楽しさや成長を大事にする傾向が強いか」を表しています。
これらは、どちらが優れているかという話ではありません。傾向を把握し、イノベーター人材のタイプに合わせた適切な支援や施策を検討するために活用していただくのが狙いです。ある調査によると、業績重視の人材よりもプロセスや成長を重視する人材のほうが、新規事業の成功確率が高まるというデータもあります。
筆者の経験則から言えば、右下の象限に位置する人材は、既存事業やその隣接領域など「不確実性が比較的低い事業開発」に向いていることが多く、対して右上の象限は社外のスタートアップ起業家に多い傾向があります。社内人材であれば、カーブアウトなどが適しているタイプです。
一方、左上の象限の人材は、自ら主導する「ボトムアップ型の新規事業開発」に向いている傾向が見られます。左下の象限は、経営トップ直轄など「不確実性が高い周辺領域や革新領域」の新規事業開発で力を発揮しやすいと言えます。
当然ケースバイケースではありますが、適性を見極める1つの観点として参考にしていただければと思います。
この2軸を通じてイノベーター候補人材の全体像を把握した上で、さらに「資質」の観点から適性の高い人材を見極めていきます。資質を統計的・定量的に見極める専門ツールや評価メソッドも存在しますが、それらを利用しなくても候補人材の把握は可能です。
たとえば、実践形式の新規事業開発研修やパイロットプロジェクトに参加してもらい、その様子や行動を観察すること。あるいは、資質を見極めるための質問や対話を重ねることで、定性的に把握するアプローチも有効です。実際の研修での思考・行動の傾向を観察し、プロジェクトの進捗や成果を見ることで、より深く丁寧な見極めが可能となります。
このように「志向性」で候補人材を抽出し、「資質」を見極める。適材適所を前提に配置することで、自社における最適なイノベーター人材を発掘し、新規事業開発を本格始動させていくのです。



