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ビジネスモデルとは「アントレプレナーにとっての経営学」である-デメリットと間違った期待

「『ビジネスモデル症候群』の実態」セミナーレポート 前編

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 2010年にLean Startup Japanを設立し、プロセスコンサルタントとして数々の新規事業立ち上げを支援してきた和波俊久氏。その和波氏が、2015年12月8日、“「ビジネスモデル」が新規事業開発のボトルネックになる? スタートアップ、企業の新規事業開発を妨げる「ビジネスモデル症候群」の実態”と題するセミナーを開催した。自身も最近まで気づいていなかったという「ビジネスモデル」のデメリットと、そこから脱却する方法を語った講演内容を前編・後編に分けてレポートする。(本コラムでは、シュンペーターの定義に従い、アントレプレナーを「企業家(起業家ではなく)」と表記します)

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「ビジネスモデル」が新規事業を成功から遠ざける?

 Lean Startup Japanの代表としてベンチャーや新規事業開発をする企業を多数支援してきた和波氏。リーン・スタートアップの考え方に則り、まずはビジネスモデルを設計し、そこから仮説を導き出して検証、得られた結果を元にさらにビジネスモデルを磨き上げていくという方法を推進してきた。しかしこの5年間、その方法で立ち上がった事業はほとんどなかったという。

私が「これがリーン・スタートアップです。こういうふうにやっていきましょう」ということをやればやるほど、そのビジネスは立ち上がっていかない。ですが、支援した企業の中にはそれとは違う形で事業開発が進んでいくものがあったのです。この違いを、どうにかして解き明かしたい。ここ2年ほど、ずっとそればかりを考えていました。

 うまくいくケースとそうでないケースを観察・検証してきた和波氏は、その原因を「ビジネスモデル症候群」にあると考えるにいたった。これは、過去に和波氏自身が各所で発信してきたことを覆すような考え方だ。本セミナーでは、その内容が初めてまとまった形で紹介されることとなった。

 和波氏は、実際に「ビジネスモデル」が事業の成功の阻害要因になっている例を3点挙げた。

1:ベンチャーにとっての「ビジネスモデル」の弊害

 起業家は「社会課題の解決」や「IT技術による社会の変革」などを理念とし、そのためのビジネスモデルを描く。しかし、投資家などによる「まだ大金を投じるべきではない。小さくニーズを当てに行こう」というアドバイスを受け、プロトタイプでの仮説検証を繰り返すことになる。その結果、起業してから2年経ってもプロトタイプしか動いておらず、サービスを通じて幸せにできた顧客は誰一人いないという状況が生まれている。

2:ベンチャー育成(特に学生向け)においての「ビジネスモデル」の弊害

 学生たちは、「みなさんの頭の中にあるのはただのアイデアにすぎない」と、まずはアイデアをビジネスモデルに落としこむよう指導される。しかし、メンター達はそのビジネスモデル設計の甘さを指摘し、せっかく起業意欲のある学生たちを起業させないという事態が生まれている。

3:企業の新規事業開発における「ビジネスモデル」の弊害

 ベンチャー育成のパターンと同じく、新規事業開発をスタートして1〜2年経ってもプロトタイプらしきものが若干出てくるにとどまる。しかもそのプロトタイプも世に出すには品質管理部などの承認が得られず、社内での戦いだけに時間が費やされてしまう。

和波俊久Lean Startup Japan 和波 俊久 氏

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