プロセスを作るためのツール:イノベーションのタイプと開発段階で異なるタスク
プロセスを作るためのツールを見てみよう。図表4の横軸は開発サイクルの4段階、縦軸は事業3分野(中核事業、隣接市場進出事業、新規事業)を示している。
横軸は、新たな市場機会を見つける→新しい提案をデザインする→ビジネスモデルを作る/その機能を有する企業を買収する→スケールを拡大する、という流れになる。各段階でやるべきタスクは、縦軸の事業分野ごとに少しずつ異なってくる。
第1段階:スカウティング
既存事業を新分野に拡張するアイデアであれ、まったくの新しいアイデアであれ、社員からのアイデア、リサーチ、ネットワークなどを通じて新しい機会を探すこのタスクは、3つの事業に共通する。この段階では今までとは違う物事に対して常にオープンでいることが大切だ。
第2、第3段階:インキュベーション
第2段階以降、中核事業では、既存のビジネスモデルの改良や発展という形で持続的イノベーションが進められる。隣接市場進出・新規事業では、インキュベーターグループが新しい製品やビジネスモデルの実験を進める。失敗しても既存のブランドに影響が及ぶリスクは避けたいので、このグループは中核事業とは切り離しておくとよい。
第4段階:ビジネスモデルの拡大または新規事業立ち上げ
中核事業では、既存のビジネスモデル内でイノベーションを確立することになる。隣接市場進出事業では、インキュベーションの段階からビジネスモデルの拡張へと進む。この場合は、中核事業からの距離や自由度を、どの程度保つかを的確に判断しなければならない。開発内容によっては、中核事業の一部に取り込まれていくかもしれない。新規事業では、中核事業とはまったく独立して運営される別の部門が立ち上げられるケースが多くなるだろう。