何の変哲もないチャットアプリSlack(スラック)が流行った背景にある「状況依存」とは?
シリコンバレーやサンフランシスコのスタートアップで使われたことがきっかけで、社内メールの代わりにSlack(スラック)という企業向け無料チャットアプリが普及しています。製品を使ってみると、LINEやFacebook Messenger(メッセンジャー)を見慣れた方には何の変哲もないチャットアプリに見えるかもしれません。しかし、企業向けのチャットとして確固たる地位を築いています。使ってみると確かに便利なのですが、「わざわざ導入するほど便利なのか?」という観点で見ると、それほどとは言えません。
ここで製品の機能や利便性ではなく「顧客の状況」という視点が必要になります。企業向けなので、導入するのはスタートアップのCTOやCIOといったマネージャーになります。彼らは、若くて優秀で、起業したり、引き抜かれたりするかもしれないエンジニアに気持ち良く働いてもらいたいという「ジョブ」を持っています。若いエンジニアにとってみれば、Emailによる社内メール(代替解決策)は「ダサい」「古い」ツールでしかありません。就職する前であれば、友人とチャットで気軽に済んでいたコミュニケーションが、メールによるコミュニケーションになると、面倒で大仰なものとなってしまいます。社内でもLINEやメッセンジャーを使えば良いのですが、いかんせんオープンなSNSですし、メールのように保存しておくことはできません(障害)。