ビジネスモデル全体の構造を可視化して、イノベーションを実現する
今回は、簡単ではありますがビジネスモデルの9つの構成要素の総括をしてまいりました。あらためて全体像を表してみましょう(図13)。プロダクト革新、顧客インターフェース、オペレーション基盤の中身と要素間の関係性を確認することによって、ストーリーテスト(スジが通っているか?)をもう1度検証していきましょう。さらに、財務基盤を確認することによって、ナンバーテスト(収支が取れているか?)を検証することができます。
「プロダクト・イノベーション」から「ビジネスモデル・イノベーション」へ
デザイン思考のイノベーションコンサルティング企業である米国Doblin社によると、多くの企業によるイノベーションの取り組みのほとんどは成功を収めておらず、最も確実に失敗する方法とはプロダクトのみに焦点を当てることであると言及しています。同社は複数のビジネス要素の組合せによるイノベーション実現のためのアプローチを提唱しています。
新しいアイディア創出のためには、「SCAMPER(とびまわる)」というチェックリストが便利です。それは、「Substitute(代用できるものはないか?)」、「Combine(結び付けることはできないか?)」、「Adapt(応用することはできないか?)」、「Modify(修正することはできないか?)」、「Put to other uses(他に使いみちはないか?)」、「Eliminate(削減することはできないか?)」、「Reverse(逆にすることはできないか?)」によるブレーンストーミングによるものです。
さて、ビジネスモデル総括の締めとして、レンタカー業界にイノベーションを起こしたZipcarのビジネスモデルをご紹介して終わりたいと思います(図14)。同社のCEOは、アニュアルレポートで「我々は、皆さんが必要とする際の足である(We are wheels when you want them.)」と述べています。皆さんのイノベーション活動にビジネスモデルが参考になれば幸いです。
(参考資料)
- 『Business Model Ontology』 (Alexander Osterwalder)
- 『Ten Types of Innovation』(Larry Keeley)