建築家のようにプロトタイプを制作するとは
冒頭に挙げた2のスキルに戻りましょう。有名なビルバオのグッゲンハイム美術館を設計したのは、フランク・ゲーリーという建築家です。彼と彼のチームはこの創造的な作品をどうやって作りあげたのでしょうか。彼らは、多くのスケッチとプロトタイブを作りました。また、それぞれのプロトタイプによって異なる可能性を探っていきました。方向性を把握できたと感じられたときにはじめて、実際にそれを建築するものとして選んだのです。
建築家的なデザイン思考とプロトタイプ作りは、今後ますますビジネス戦略の中で実践されていくでしょう。問題は、これを教えてくれるビジネススクールがあまりないことです。ビジネススクールはビジネスのやり方は教えますが、新しい成長エンジンを生み出す方法は教えてくれません。そこで、建築家の仕事の新しいものを創造するプロセスやプロトタイプ作りが参考になるのです。
プロトタイプはすばやく、ラフに作る
スピード感を持ってラフに作ることが、プロトタイピングのコツです。短時間にラフに考えたプロトタイプからは学習もできるいっぽうで、それを簡単に捨てることもできます。
プロトタイプ作りに時間をかけてしまうと、コストがかかり、手放しづらくなってしまいます。そうなると、間違った方向に進むリスクも高まります。「捨てる」ことができないと、イノベーションは生まれません。だからプロトタイプを作るのです。最初の1つのアイデアにしがみつかずに、たくさんのプロトタイプを作ってみてください。