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共創し学習する新しい組織論

イノベーションを生む組織が「コラボレーションの促進」と「経験からの学び」を重視する理由

共創し学習する新しい組織論:第1回

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 日本の企業社会は、今大きく変わろうとしている。日本企業の低迷を打ち破るべくイノベーションの必要性が叫ばれる一方で、働き方改革への切実なる要請も高まっている。マネジメント理論では、ホラクラシーやリーン・スタートアップなどの新しい概念が登場し、一方で、システム思考や社会構成主義に代表される新しい考え方にも徐々に関心が高まっている。様々な概念や考え方が登場することは、使える道具が増えるという意味では良い。しかし、一方で、あまりのスピードで次々と現れる様々な考え方に対して、これらが一体何を論点とし、何が変わることで、どのような未来が拓けてくるのかについて、一度考える機会があればとも思う。このコラムでは、組織論研究の観点から、新しい様々な考え方がどのような意義があるのかを探っていきたい。

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経営課題の変化から、組織に今求められている変容とは?

 先日、Biz/Zineにて、ホラクラシー(階層や役職のない組織マネジメント)を実践するダイヤモンドメディア代表の武井浩三さんとの対談を行い、前編後編の記事として公開した。この内容については、私が想定していたよりも多くの反響をいただいたが、そのなかには少し難しかった、という声もあった。対談では、いくつものキーワードが登場したが、このコラムでは言葉の意味や背景などを噛み砕いて提示する必要があると考えている。

 まず対談のテーマであった「ホラクラシー」が乗り越えようとしているのは、何なのだろうか? それは、旧来の階層型組織の様々な弊害である。階層型組織は、組織内の仕事を機能分化させ、分業という形で資源を分配することにより、効率的に目的を達成するために作られたものである。ここには物事を行う前に、何を行うべきかが明確化されているという前提があり、意思決定を行う上位者の決定に従うことで組織が機能するようになっている。

 組織論における階層型組織に関する議論は、1973年にジェイ・ガルブレイスによってまとめられ、一定の完成を得た議論である。だが、その後の研究を通じて、これは組織的なイノベーションに対して有効に機能しないことが見えてきた。なぜならば、事前に分かることは限られており、物事に取り組む際に様々なことが発見されるからである。しかし、階層構造(の組織)では、事前決定を通じて分業された者同士が、有機的に連携して物事に当たることの障壁となる。さらに、組織が上下にも分割されているため、相互の情報の文脈が伝わりにくく、結果としてイノベーションが大きく阻害される。

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組織内外における「文脈の共有」によって、コラボレーションの成否が左右される

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この記事の著者

宇田川 元一(ウダガワ モトカズ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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