企業が“半強制的”に作るべき「異質が交わり価値を生み出す環境」
ヘルシンキに3年間住んで、その後ロンドンに10年住んでいる。私自身が移民として2つの街で生活してきた中であった実体験は、次に話したい「異質に正しく反応する」という点を考えるうえで参考になると思う。
北欧の小さな街の中で、長髪の日本人は完全な異質だった。心優しきフィンランド人は、私に気づかれないように、バスやトラムの中で、私のことをそっと観察した。目が合えば、ブロンドの髪を揺らしながら、青緑の美しい目で笑顔をくれた。私が道を尋ねれば、独特なアクセントの英語で、とても親切に案内してくれた。数年後ロンドンに移ると、道を尋ねれば、私の英語発音の悪さに「は?」と不機嫌に聞き直され、バスでもチューブでも誰も私を気にかけたり、ましてや笑顔をくれたりする人なんて一人もいない。