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INNOSIGHT流イノベーションの興し方

クリステンセン教授の「ジョブ理論」に影響を与えたODI(アウトカム・ドリブン・イノベーション)

ブックレビュー:“Jobs to be Done: Theory to Practice ”

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 クリステンセンは「ジョブ理論」の創始者として有名だが、クリステンセンを触発したアルウィック氏をご存知だろうか? クリステンセンが“Competing Against Luck”を発売するのとほぼ同時に刊行した書籍は、その名もストレートに“JOBS TO BE DONE”。ジョブ理論を中心とするイノベーションプロセスを「ODI(アウトカム・ドリブン・イノベーション)」と呼び、25年間実践してきている。本書はそのODIというプロセスおよび成功率86%を誇る事例を紹介した1冊である。

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成功率86%のイノベーションプロセスはどのように生まれたのか?

 ODIはとある失敗がきっかけとなって考案された。アルウィックは当時IBMに在籍する製品開発エンジニアとしてPCjrという新製品を担当する。家庭向けのコンピューターという画期的なコンセプトで開発に成功しローンチするが、市場の反応は最低で、メディアからも酷評される。この経験が、アルウィック氏に「消費者が価値を感じる指標は何か?」という根源的な問いを立てさるきっかけとなった。その問いを解決するために、彼はQFD、TRIZ、6シグマ、コンジョイント分析等々の手法を試めし、最終的に6シグマを応用し、顧客の価値指標を特定していくプロセスを開発する。

 このプロセスを実践するため、1991年に独立し、現在のStrategyn社の前進となるThe Total Quality Groupを設立する。以来、多くの企業で売り上げの振るわない商品をテコ入れし、なんとこれまでの成功率は86%にものぼると言われている。一般的に新商品の成功率が数%と言われている中、驚異的な数字だといわざるを得ない。その経験をクリステンセンがアルウィック氏とディスカッションしたことが「ジョブ理論」確立のきっかけとなった。

 本書で、アルウィック氏は「ジョブの解決を以前より20%以上改善」したり、「アンメットニーズを解決」したり、顧客が望むアウトカムを製品やサービスが提供できるようにする必要があると断言する。医療業界では聞き慣れている「アンメットニーズ」(未解決の治療や診断)や「アウトカム」(治療の成果や結果)を重視するのがODIプロセスなのだ。

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イノベーションプロセスは「シーズ起点」では再現が難しく、「ニーズ起点」では実行が難しい

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この記事の著者

津田 真吾(ツダ シンゴ)

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