“アンメットニーズ起点”のイノベーションプロセス「ジョブ・ニーズフレームワーク」とは?
さて、大きなビジネスチャンスとなり得るアンメットニーズを把握するには、漏れなくニーズを知っておく必要がある。それにはジョブ・ニーズフレームワークを活用することを推奨している。B2Cでは約100個、B2Bになると複雑になり約200個のニーズがこのフレームワークを使うことで見つかるという。
このフレームワークには普遍的な「機能的ジョブ(〜がしたい)」を中心にして、周辺のジョブや感情的ジョブ、消費する上でのジョブを挙げると同時に、顧客がジョブをどのように解決したいのかという「期待アウトカム」があるのが特徴である。
機能的ジョブは普遍的であり、地域性もない。そこから顧客の状況に応じて、ジョブを解決するためのステップごとにブレークダウンしたステップを用い、ジョブを洗い出すという。では、以降では、本書に登場するケースを一部紹介しよう。
Uberのラインナップと機会マトリックス
数多くのジョブが抽出できると、その中からビジネスとして有望な機会を選択する。機会マトリクッスの4象限を考察すると、以下のことがわかる。
- 差別化戦略:性能も価格も高い製品は、ニーズが未充足やアンメットニーズのある顧客にだけ訴求する。(元祖 UberBLACK)
- ドミナント戦略:性能は高いが価格は低い製品は、どのような顧客にも訴求する。(UberXはタクシーよりも良いけど安い)
- 破壊的戦略:性能は低く、価格も低い製品は、過剰満足(アンメットニーズのない状態)や非消費の顧客に訴求する。(UberPOOLは乗り合いのカープールのようなサービス)
- ディスクリート戦略:性能は低く、価格が高い製品は、選択肢が限られた状況に置かれた顧客に訴求する。これは空港のゲート内での飲食店などとても限定的な状況しか起こらない。
新規顧客の獲得は困難になる。既存事業を持つ企業ならあまり問題ないが、新規参入には適さない戦略となる。