デザイン経営と「アート × サイエンス × クラフト」経営の共通項
著者の山口周氏は、組織開発・リーダー育成を専門とするコーン・フェリー・ヘイグループのパートナーで、Biz/Zine読者には『世界で最もイノベーティブな組織の作り方』(光文社)、『外資系コンサルのスライド作成術』の著者と説明したほうがイメージしやすいかもしれません。
本書では、企業経営における“ロジカル思考偏重”の限界と、ロジカル思考を超えて必要となる「経営における美意識」を、様々な研究、事例などを引用し、リベラルアーツや歴史的人物などの話を含めて、極めて丁寧に論考しています。
なぜ私が本書を、Biz/Zine読者である新規事業部門、経営企画部門、研究開発部門を管理する責任者、担当者、経営層に紹介したいと思ったのかといえば、以下、連載とは立ち位置が違いながらも、比較的同様の課題意識がある主張だと感じたからです。
■記事:デザイン思考だけで語れない、デザイナーの「曖昧な資質」が強い経営に欠かせない理由
上記記事は、ロンドンに拠点を置くデザインファーム「シーモアパウエル」のシニアデザイナー池田さんの記事で、デザインシンカーが経営において重要性を増す時代に「デザイナー」の価値をどのように認識し、どのように経営に関与してもらうか。そのデザイナーの持つ価値を「曖昧な資質」と定義しています。
では、今回紹介する本書の、内容の中核となる部分のみ、次項で見ていきましょう。