伝統産業の久留米絣が「AI技術の活用」で得たものとは何か
安松:
このAI技術によるモデリングからわかったことは、どのようなお客様が、どのようなベネフィット(機能的・情緒的)を感じ、どのような商品を購入するかですが、例えば、「定番志向の人は○○な商品群を購入する」ということや、「△△な人には品質の良さは響かない」「□□を購入する人は、作り手の想いに共感する価値を感じている」などが定量的に表現されました。これをみてどのように感じましたでしょうか。
下川強臓(昭和23年創業 下川織物 三代目):
伝統的な仕事というのは、だいたい親の家業を継いでするというのがほとんどです。そして、伝統技法というのは、最初は先代がやっていたものをそのまま継承して習得するところから始めるんですね。ということは、先代が通った道なので、足元が見えていて踏み外すことなく、そこを真っ直ぐ歩くだけなんです。だけど、10年20年経った時、世の中はすごく変わっているけれど、自分が歩いている道はあまり変わっていなくて、同じところをぐるぐる回っているという感覚になりました。実際に、経営的な課題を感じはじめていたんです。