スタートアップが学習にフォーカスすべき理由──スタートアップはアート、失敗はサイエンス
「4、5年前の自分向けに書いたもの。自分は起業家だが、投資家としてメンタリングを100社ほどやっている中で、コンテンツをまとめようと書き出した」。世界で累計5万シェアされたスライド「Startup Science」の著書である田所氏は、1750ページに及ぶスライドを執筆した理由をそう話す。3200社のスタートアップの成功と失敗を分析したレポート「Startup Genome Report」を参照したという。その上で「スタートアップはアート。失敗はサイエンス。スタートアップは時間が大事」と語る。
田所氏はこれまでの経験上、「スタートアップは学習にフォーカスするべき」と強調。「学習にフォーカスしないスタートアップは失敗する」といい、学習しているスタートアップは学習をしていないところに比べ、7倍資金調達できる可能性が高く、3.5倍早く成長できるというのだ。
「思い込みを信じる→プロダクトを作る→見たいものを計測」の“失敗のループ”
田所氏が言う「多くのスタートアップが陥る失敗」はこうだ。
自分の知らないことをインタビューシナリオに反映させ「自分が認識している課題は他の人にも同様に認識されている課題である」、「こういうプロダクトがあったら良いよね?」と思い込み、とりあえずプロダクトをローンチして、ブログのPVが伸びたなど見たいものを計測する──。“何かやっているつもり症候群”や“俺たちはスタートアップ症候群”ということだ。
スタートアップは、前に進んでいる感、やっている感がないと不安なんですよ。Facebookのファンが増えても、ブログのPVが上がっても、サービスの定着率は低いまま。売り上げはほぼゼロ。学習にフォーカスしないと思い込みが更に強化されていくが、実際には何も学んでおらず、前に進んでいない。一生懸命やっているだけだと正当化されない。