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自動運転時代に“愛車感情”は生まれるのか──「コネクテッドモビリティ」の競争優位とは

FUTURE MOBILITY SUMMIT セミナーレポート Vol.2

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 自動車は単なる交通のデバイスから、モバイル空間とも言える存在になった。“コネクテッド・ケイパビリティ”としてネットに繋がる能力を持ち、家やオフィスといった空間の延長として、様々な活動が可能となっている。10月24日(火)に開催されたFuture Mobility Summit : TOKYO 2017の午後からのセッションでは、この「コネクテッド・モビリティ」をテーマに議論が展開された。その模様をレポートする。

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「自動運転」の実現に必要なスケーラビリティとエコシステム

 最初の登壇者となったのは、ハーマンインターナショナルのCEOであるディネッシュ・パリワル氏(Dinesh Paliwal)。ハーマンは、スピーカーのJBL、ハイエンドオーディオのマークレビンソン、ヘッドホンのAKGなど、世界有数のオーディオブランドを持つオーディオメーカーとしても有名だが、オートモーティブ向け製品では、ネットワークによって車に情報やコンテンツを届ける「インフォテイメント」のリーダー的存在として注目される企業だ。

 ハーマンインターナショナルは、かつては自動車関連企業として自動車メーカーに依頼されるまま物を作る会社だったという。しかし、そのままでは企業として存続できないと考え、死活をかけた破壊的イノベーションをはかり、オーディオ関連のソリューション提供企業として生まれ変わった。現在はデータサイエンティストを1500人抱え、ノイズキャンセレーションやEV自動車などを開発・販売している。

受注型企業からEnd to Endのソリューションサプライヤーへ、多くの企業がそうした変化を遂げつつあります。その理由は、ニーズを先回りして捉える必要があるからです。そのために情報を集め、分析し、活用する仕組みが必要になっています。この社会の変化にワクワクしており、ハーマンもそこに賭けるつもりでいます。(ハーマンインターナショナル・パリワル氏)

 パラウイ氏は事業を遂行する中で、「自動運転」の実現は、どんなに大きな企業であっても他社との連携を抜きにしてはあり得ないと確信するようになったという。

 例えば、AI、センサー、インテリジェンスなどを事業とする企業は、2013年には二社だったのが、2016年には60社以上を数えるようになった。そうした指数関数的な変化の中で、ハーマンがサムソンに2016年に吸収合併されて8ヶ月、お互い補完し合う関係として大きなイノベーションを成しつつあるという。

スケーラビリティが重要です。拡大すればイノベーションが生まれる、イノベーションが生まれれば、一社でできなかったことができるようになる。10年前、この業界は「眠って」いました。他社に追従するしかありませんでした。しかし今では、最も進んだ業界として進化しつつあります。自動車業界もテクノロジーとデータ志向の業界になろうとしているのです。(ハーマンインターナショナル・パリワル氏)

 完全な自動運転を実現するには、莫大な研究予算が必要になる。今回の合併でハーマンは82億ドルという世界最高額の資金を手に入れた。様々な技術を組み合わせながら低い消費電力で自律走行を実現する必要がある自動運転。技術的に可能でも、大量に電力を消費するようでは普及が進まない。スケールとイノベーションの両方を担保する必要があるというわけだ。

 さらに電力だけでなく、通信データ量も大きな課題だ。自律走行を実現するにはテラフロップ(浮動小数点演算を1秒間に1兆回行うことを表す単位)のデータが不可欠であり、少なくとも5Gの通信が必要となる。ただし一部の地域では、5G通信も含めて環境が徐々に整いつつあるという。

タイトルディネッシュ・パリワル氏(ハーマンインターナショナル CEO)

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