Positive Deviance(ポジティブ・デビアンス)とは何か
Positive Deviance(以下PD)とは、端的に言うと「ポジティブな逸脱」である。これだけでは分からないと言われるだろうが、当日のシンハル氏のやり方にならって、ここでも、4つのストーリーをお伝えすることから始めたい。一流のストーリーテラーでもあるシンハル氏の言葉を紙に起こすのは限界があるがご容赦いただきたい。
セミナーと言ってもシンハル氏がつくる場は自然とインタラクティブな対話の場になる。自己紹介の後、シンハル氏の導きで、まずは全員が円になることから始まった。当然、シンハル氏もその円の中に入る。そして、全員が一言ずつの自己紹介へと進んだ。
こうした進め方もPDの哲学に根ざしている。インビテーショナル・アプローチというもので、そこに集まった全員が、どうその場に関わるかを決めていく。PDはよくソーシャル・イノベーションに向いた手法ととらえられる事が多いが、ここでのソーシャルという単語は「社会ではなく関係性」であるととらえるとPDの世界観が見えてくる。関係性を変えていく事はPD実践における肝の一つである。
全員での対話の準備が整ったところで、シンハル氏は語り始めた。彼が過去48時間に出会ったエピソードからPDを感じたものがテーマとなった。身近なテーマでのPD発見という点でとても興味深いものになった。