「変な人」が鍵になる──戻ってこられない「出島」より重要な、ポジティブ・デビアンスとしての「トラリーマン」
加藤:いろいろと日本企業の問題を指摘してきましたが、そうはいっても今、最高益を記録している日本企業は多いですよね。そんななかで組織をがらりと変えるのは難しいために、「両利きの経営」ということを言う人もいますよね。たしかに今現状の仕事をすべて止めて新しいやり方を始めるのは、経営破綻している企業でもない限り難しい。しかし、僕は「両利きの経営」には矛盾することを同時に行うような、皿回しみたいなイメージを抱くんですよ。
宇田川:クリステンセンもイノベーションのジレンマを避けるために、別働隊を作る提案をしていますね。ただ、そういう「出島」を作ってやっていくには問題もあるなと感じています。本流の組織とその出島の舞台があまりに違いすぎて戻れなくなったり、本流の組織の論理で出島を査定したり。それに、いずれにしても本流の組織変革を避けては通れません。