賢者風と愚者風リーダーの違い──ヒエラルキー組織は「愛情と信頼」、ホラクラシー組織は「規律と秩序」?

第1回ゲスト:楽天株式会社 楽天大学 学長 仲山 進也 氏【後編】

 前回に続き、連載ナビゲーターである組織開発ファシリテーターの長尾彰氏と、楽天株式会社 楽天大学 学長 仲山進也氏の対談。ワールドカップサーカーでの監督とチームを例に、賢者風リーダーと愚者風リーダーの違い、リーダーシップの違いが組織に及ぼす影響などについて詳しくうかがった内容をお届けする。

[公開日]

[語り手] 仲山 進也 長尾 彰 [取材・構成] やつづかえり [写] 長谷川 梓 [編] 栗原 茂(Biz/Zine編集部)

[タグ] ワークスタイル ホラクラシー ヒエラルキー 愚者風リーダーシップ 賢者風リーダーシップ

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サッカーワールドカップにみる、リーダーと組織のタイプ──賢者風リーダーと愚者風リーダーの組織では何が違うのか?

──長尾さんは完璧なリーダー(賢者風賢者)ではない人でもできるリーダーシップのあり方として「愚者風リーダーシップ」を提唱していますが、愚者風リーダーがいる組織というのは、具体的にはどんなものですか?

長尾:今年はワールドカップがあったのでサッカーの例で説明しましょう。

例えばアルゼンチンはメッシ選手が賢者風賢者ですから、他の選手が「メッシさん、どうにかしてください」とパスを出すんですね。でも、彼がFCバルセロナで輝けていたのは、チームのみんながリーダーで、メッシはシュートを打つ係だからなんです。アルゼンチンだと「メッシさん、お願いします」とメッシ依存、リーダー依存を起こしちゃう。

会社でも、◯◯長という役職の人に「課長なんだから、部長なんだから、ちゃんとしてもらわないと困る」と周りが依存することが、ありますよね。

逆にアイスランドなんかは、2008年頃から国をあげて始めた育成が効いて、いい感じのチームになっています。飛び抜けた才能を持つ選手はいないけれど、そこを組織力でカバーする。サポーターとも一体になっています。「バイキング・クラップ」というのが有名になりましたけど、あれは「ここで、励ましてくれ!」という時に選手の方からサポーターに要求するんですよ。どっちがリーダーでどっちがフォロワーかという境目がほとんどないんです。

仲山進也氏(楽天株式会社 楽天大学 学長、以下敬称略):日本代表の話でいくと、トルシエ監督は答えを教えて「こうしなさい」と型にはめようとするタイプでした。ハリルホジッチ監督は「こうしろ」とは言わず、とにかくずっとかき混ぜ続けます。「俺たち弱いから、世界に勝つためには速攻だ」くらいしか言わず、「あとは自分たちで考えてやれ!」と。そして、メンバーをどんどん入れ替えて競争させ、生き残ったやつが強い、という感じでした。メンバーは、ずっとモヤモヤしたままやらされている感を持っているように見えました。

仲山進也仲山 進也(なかやま しんや)さん / 仲山考材株式会社 代表取締役、楽天株式会社 楽天大学学長
北海道生まれ。慶應義塾大学法学部法律学科卒業。シャープ株式会社を経て、1999年に社員約20名の楽天株式会社へ移籍。初代ECコンサルタントであり、楽天市場の最古参スタッフ。2000年に「楽天大学」を設立、楽天市場出店者45,000社の成長パートナーとして活動中。2004年、Jリーグ「ヴィッセル神戸」の経営に参画。2007年に楽天で唯一のフェロー風正社員(兼業自由・勤怠自由の正社員)となり、2008年には仲山考材株式会社を設立、Eコマースの実践コミュニティ「次世代ECアイデアジャングル」を主宰している。2016年にJリーグ「横浜F・マリノス」とプロ契約、コーチやジュニアユース向けの研修を実施。チームビルディングファシリテーターの長尾彰氏と共同開発した「チームビルディングプログラム」は、ネット/リアルを問わず、企業経営に劇的な進化を生み出すとの定評がある。著書に、『組織にいながら、自由に働く。 仕事の不安が「夢中」に変わる「加減乗除(+-×÷)の法則」』などがある。

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