既存企業の新規事業を難しくする「未知の発見」と「未知に対する意思決定」という大きな障壁
こうしたことからWHITEが勧めているのが、レッドオーシャン化しがちな「課題解決型」から「課題再定義型」「価値創造型」へのシフトチェンジだ。すなわち“WHY”の深掘りであり、課題や価値をゼロから考え、未知の領域の探索こそが重要というわけだ。
そうなれば、プロセス自体も変化するという。課題解決型の既知の世界では、多くの人との共創のもと拡散的に解決策を数多く考えるという手法をとることが多いが、課題再定義型や価値創造型で未知の領域を考える場合、深耕に加えて、独創や批判的思考というプロセスが必要になるという。
まず「未知の発見」での課題は、「どうやって行なうのか?」というファーストステップだ。これまでは既に課題があり、それを解決する方法でよかったが、「未知の発見」となると経験もなく、手法も確立していない。戸惑うのも無理はないだろう。
そこで、小池氏は、未知の発見の構造化の第一歩として「顧客に聞くこと」を勧める。生活者がどのような課題を抱えているのかを発見し、そこから仮説を構築して検証するというわけだ。ただし、ヒアリングした内容をそのまま具体的な課題とみなして解決策を考えると、そのまま課題解決型のアプローチと変わらなくなってしまう。行動や発言のなかから「価値=WHY」を捉えて、上位概念として導き、そこから潜在的な欲求を発見して実現するべき新しい価値の定義とすることが大切だ。