電話対応のAIでの可視化から、紙ドキュメントの自動入力まで。各社のAI活用事例
セッションはまず、自己紹介を兼ねて各社の取り組みの紹介から始まった。モデレーターの會田氏は昨年RevCommを起業。RevCommは「MiiTel」という電話営業や顧客対応をAIで可視化するサービスを提供している。電話営業の際、リアルタイムでAIが話す・聞くの割合、発話被り、早口、沈黙回数の可視化を行い担当者にフィードバックを行ったり、担当者の声を自動文字起こしして顧客対応を集中にできるように支援したり、AIがビッグデータを元に学習し、顧客別のトークスクリプトを提案したりすることにより、成約率を上げ、解約率と教育コストを下げるサービスである。
ABEJAの岡田氏は一般社団法人日本ディープラーニング協会理事のほか、IoT新時代の未来づくり検討委員会等、総務省、経済産業省の検討会などで委員を勤めている。ABEJAは、ディープラーニングを活用したAIの社会実装事業を展開。現在は製造業、インフラ業、物流業や小売業まで、幅広い業界で150社以上と取引をしている。カンファレンスの前々日には日本企業初となるGoogleからの資金調達を発表した。具体的な取り組みに関しては別途ABEJA主催の年次AIカンファレンス「SIX2019~技が共創し、藝があつまる~」にて紹介すると伝えた。
河野氏はコグニティを5年前に創業した。ビジネスコミュニケーションにフォーカスし、AIを活用して商談やプレゼン、チャットなど様々なコミュニケーションシーンの質を高めるサービスを提供している。代表的なのは「UpSighter(アップ・サイター)」というサービスだ。プレゼンや商談等の音声データを数本アップロードするだけで、ロジック構成や情報種類の割合を分析、暗黙知を目に見えるようにし、自動フィードバックや採点を行うことによって指導コストを削減できるようにするものである。9月にはサンフランシスコで行われたTechCrunch Disrupt SFで、日本から唯一AIフラッシュピッチに登壇し、Startup Alley Flash PitchにおけるGreylock Awardを受賞している。
平野氏はシナモンを「ホワイトカラーの生産性を向上させるためのAIプロダクトを展開する企業」と説明する。「FLAX SCANNER」という、AIが書類を読み込んでデータ化するサービスがあるほか、音声認識やチャットボット、レコメンデーションエンジンなどを手がけている。特徴的なのはAIエンジニアが多いところだ。平野氏はAIエンジニアを「ディープラーニングが0から組める人材」と定義。そのAIエンジニアは日本国内には500名程度しかいないが、シナモンには海外拠点を含め、50名のAIエンジニアが在籍する。2022年には、その人数を500名にするという。