激動の時代を読み解く「ゲーム・チェンジ」──イノベーションをもたらす“3つのドライバー”とは?

「先が読めない不確実な時代」と評されるようになって久しい。所有から利用へ、消費から循環へと、モノやコトに関する価値が大きく変化し、ビジネスのセオリーも刻一刻と変化している。社会や経済情勢が激変する中で、どのように変化を察知し、対応していくべきなのか。2019年5月20日に開催された稲門法曹会*主催の「春の講演会」に早稲田大学商学学術院教授の内田和成氏が登壇し、予測不能な時代に対応する新たな枠組みとして「ゲーム・チェンジ」の読み解き方をテーマに講演を行った。
*早稲田大学出身の法曹の同窓会組織

[公開日]

[講演者] 内田 和成 [取材・構成] 伊藤 真美 [写] 黑田 菜月 [編] 梶川 元貴(Biz/Zine編集部)

[タグ] ビジネスモデル 事業開発 イノベーション ゲームチェンジ

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世界トップの企業すらも新参者に追い落とされる「ゲーム・チェンジ」の時代

 内田氏はまず、シリコンバレーを凌ぐほどの勢いで成長しているイスラエルを視察してきたことについて触れ、「ベンチャー企業の成長が著しく、それが経済成長の大きな起爆剤となっている。その背景には、失敗が挑戦として評価される社会環境があり、イノベーションが生まれやすい土壌が育まれている」と紹介した。

 ベンチャー企業の成功面ばかりが強調されがちだが、その裏側には数倍の失敗が積み重なっている。しかし、その失敗すらも挑戦の結果であり、失敗したことによる知見は得難いものとして起業チャンスが巡ってくるという。一方、日本はといえば、「1度失敗すれば個人保証の財産を取られ、2度目の挑戦の機会が得られにくい」と内田氏は嘆く。

 しかし、そうした日本独自の社会的事情を言い訳にもしていられなくなりそうだ。世界の社会経済情勢は劇的に変化し、その変化は年々激しさを増している。

 内田氏はその変化の凄まじさについて、まずはノキアの事例を挙げる。2007年の携帯電話市場ではノキアが4割近いシェアを占め、“飛ぶ鳥を落とす勢い”だった。しかし、スマートフォンの出現によって急速に失速し、市場から退場を余儀なくされている。携帯電話市場からノキアが消えるなど「トヨタが10年後に自動車会社ではなくなる」というようなもので、誰が予測できただろうか。そして、10年前に一世を風靡したWii Fitやデジタルフォトフレームも現在はほとんど見なくなり、製品やサービスの寿命がどんどん短くなっている。紙の本のオンライン書店だったAmazonが、現在はクラウドサービスで圧倒するシェアを誇り、名だたるIT企業はその後塵を拝している。この10年、多くの市場で新しいサービスが既存のサービスにとってかわる「ゲーム・チェンジ」が起きているのだ。

人間も企業も『明日は今日の延長』と考えがちだが、それでは激変する時代にすぐに置いていかれる。業界でトップだと思っていた企業が、異業種からの新参者にその座を奪われる。何が起きてもおかしくない時代になった。

 内田氏はこのように警鐘を鳴らす。

 では、「ゲーム・チェンジ」は一体どのような場所で、どのような形で起きているのだろうか。

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