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なぜスターバックスの取り組みには一貫性があるのか──紙ストロー導入にみる、ミッションと対話の経営

ゲスト:スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社 村上理氏、普川玲氏、酒井恵美子氏

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紙ストロー導入後の反応とそこに至る経緯

株式会社fog 代表 大山貴子氏(以下、敬称略):2020年1月からスターバックスでは紙ストローの導入を開始されましたね。反応はいかがでしょうか。

スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社 広報部Social Impactチーム 酒井恵美子氏(以下、敬称略):「慣れない」というお声もいただいていますが、「既存の紙ストローに比べると紙の匂いや味がしない」とか「だんだん慣れてきた」というお声もいただいています。

大山:SNSなどで反応を見たのですが、「プラスチックストローをやめて、プラスチックカップを続けるのがよくわからない」といった反応があるものの、「これを機会にステンレス製のマイストローを導入しました」、「コールド用タンブラーも買おうかな」、「こうやって世界は変わっていく」などといったコメントもあります。環境を考えるきっかけになっているようですね。

 この紙ストローに関しては、アメリカ本社が2018年7月に「ストロー全廃の宣言」*1を出したことを受けて、スターバックス コーヒー ジャパンでも導入に踏み切ったのですよね。最初にその話を聞いた時、社内ではどういった反応だったのでしょうか。

スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社 サプライチェーン本部 本部長 村上理氏:正直に言えば、プラスチックストローを別素材に変えていくことに本当に意味があるのかと、日本の社内でも戸惑いがありました。そこで少しずつ資料を集め、海洋プラスチックの問題や、プラスチックストローを別素材に変える意義について理解を深めていきました。

紙ストロー写真提供:スターバックス コーヒー ジャパン

大山:どういったロードマップで紙ストローに切り替えが行われたのでしょうか。資材の調達もありますし、店舗でのオペレーションも変える必要がありますよね。何より社内の意識変容も必要です。

村上:石油由来のプラスチックストローはなくすという方針は決まっていたのですが、各国でゴミ処理の方法は異なるので、日本で意味のある素材は何かと考えることから始めました。紙ストローはゴミ処理の観点では良かったものの、強度の観点で難がありました。ところが2019年になってサプライヤー様から強度の保てるストローのご提案をいただいて、導入することになりました。

 並行して、社内のパートナー(従業員)とコミュニケーションを行いました。環境意識が高いパートナーも多いので、「もっと早く切り替えてほしい」という要望があったり、逆にお客様の使い勝手を心配する声もあったりしました。ためらいの声があった部署に関しては対話をして目線を合わせてきました。

 また、2019年11月には新宿店など、都内5店舗でコールドドリンク用の紙カップの導入も行いました。ストローだけではなく、今後プラスチック全体を減らしていくことに真摯に向き合う姿勢を社内に示せたと思います。あわせてCEOから目的と期待するものを文面で社内に発信してもらったことで流れが変わり、社内が紙ストローへの切り替えに更にポジティブになりました。

コールドドリンク用の紙カップ写真提供:スターバックス コーヒー ジャパン

スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社 サプライチェーン本部エシカルソーシング・サステナビリティチーム チームマネージャー 普川玲氏(以下、敬称略):欧米ではプラスチックストローが鼻に刺さってしまったウミガメの映像が流れた結果、プラスチックストロー廃止の動きが生まれています。それを考えると今の時流的にはストローだとは言えます。けれど、本来削減すべきなのはストローだけじゃないだろうという気持ちもあって、足並みを揃えたいけれどモヤモヤしている状況だったんです。でも、CEOから、使い捨てのプラスチックをなくすことに向けたステップだとして発信されて、社内が改めて同じ方向を目指せました。

村上 理スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社 サポートセンター(本社)サプライチェーン本部 本部長 村上理(むらかみ おさむ)氏

*1:Starbucks to Eliminate Plastic Straws Globally by 2020

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