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ヘルスケアイノベーター探訪

KDDIが進める健康・医療のトータルプラットフォーム創出──田口氏に聞く、ヘルスケア事業開発の要諦

第4回 ゲスト:KDDI 田口健太氏

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 医療分野におけるデータ利活用や、AIやロボットによる医療の効率化、企業連携や異業種連携による新規事業創出を通じて課題解決に取り組むイノベーターたちにインタビューする本連載。第4回は、健康/医療アプリ「auウェルネス」を中心にヘルスケアプラットフォームの構築を目指す、KDDI株式会社 サービス・商品本部 シニアエキスパートの田口健太氏にお話を伺いました。聞き手は一般社団法人ヘルスケア イノベーション協会 代表理事の大角知也氏です。

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医療経済学の知見を武器に大企業でのヘルスケア事業開発へ

大角知也氏(以下、大角):田口さんは元々、医療経済学を専門に研究されていたということで、ヘルスケア領域でのビジネス開発に欠かせない視点をお持ちなのではと期待しています。まずは、田口さんのこれまでのキャリアについて、簡単に伺ってもよろしいでしょうか。

田口健太氏(以下、田口):おっしゃっていただいた通り、大学から大学院修士課程まで、経済学の方法論で医療を分析する「医療経済学」を学んでいました。卒業後は、医療経済学のアプローチを生かしたいと思い、野村総合研究所にコンサルタントとして入社。約13年間、官公庁から民間企業まで、あらゆるヘルスケア領域の事業開発プロジェクトに携わりました。

 その後、自分で事業を立ち上げたいという思いが強まったこともあり、退職を決意しました。特にヘルスケア領域の事業では、「個人をデジタルで賢くする」ことが必要だと考えていたので、個人へアプローチできる会社に転職しようと思っていたところ、たまたまKDDIから3年契約のオファーがあり、2019年6月に入社したという次第です。それ以来、ヘルスケアビジネスの専門家として、ヘルスケア領域の事業推進を担っています。

大角:事業を立ち上げる場合、起業という選択肢もありますが、田口さんは大企業の中での事業開発を選ばれたということですね。「3年」という期限付きのオファーは、優秀な人材の流動性を高める上でも有効そうだと感じました。

 とはいえ、KDDIというと、「通信会社」のイメージが強いですが、ヘルスケア事業はどのように位置付けられているのでしょうか。

田口:おっしゃる通り、KDDIは、通信などの個人向け事業が売上の約8割を占める会社ではあるものの、新規領域にも積極的に進出しています。家計簿のパイチャートを思い浮かべてもらうとわかりやすいのですが、世帯支出で一定の割合を占めるエネルギーや金融、教育といった領域で事業を立ち上げてきました。ヘルスケアもその1つで、実は2015年から郵送型血液検査サービス「スマホdeドック」を開始していたのです。

 その後、ヘルスケア領域をさらに拡大しようとしていたタイミングで私が入社し、事業が進捗。その結果、2022年策定の中期経営戦略で打ち出されたサテライトグロース戦略では、宇宙や教育、モビリティと並んでヘルスケアが第二外周の事業として正式に位置付けられました。それを機にヘルスケア事業推進部が設立され、現在に至ります。

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この記事の著者

山田 奈緒美(ヤマダ ナオミ)

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