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渋沢栄一が掲げた「合本主義」と、これからの時代に求められる「ステークホルダー経営」とは?

次世代組織を考える NEXT VISION Vol.2

 アイディール・リーダーズ株式会社が主催する「次世代組織を考える」をテーマに据えた対談イベントNEXT VISION。2020年1月9日開催の第2回では、コモンズ投信株式会社の渋澤健氏をゲストに迎え、「ステークホルダーを巻き込む社会共創の経営とは?」をテーマに、会場からの質問に答えながら働き方を考えた。イベントの様子を紹介する。

[公開日]

[講演者] 渋澤 健 永井 恒男 [取材・構成] フェリックス清香 [写] 黑田 菜月 [編] 梶川 元貴(Biz/Zine編集部)

[タグ] ワークスタイル 経営 ステークホルダー経営 渋沢栄一

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企業も従業員も成長するための「ステークホルダー経営」

 イベントは、アイディール・リーダーズ株式会社代表取締役CEOの永井恒男氏の講演から始まった。

 永井氏は、これからの時代の組織経営は「シェアホルダー経営」ではなく、「ステークホルダー経営」で考える必要があると主張する。

 現在、ほとんどの企業が「業績を2倍にする」という目標を掲げたとしても、決して社員はワクワクしない。なぜなら、業績が2倍になっても給料が2倍にならないことを、社員は知っているからである。企業の多くがシェアホルダー経営を行っている以上、ワクワクするのは投資家ばかりとなってしまう。これからは、従業員や顧客、地域を含めた全ての人、つまり“ステークホルダー”に向き合った経営をする必要がある。そのためには、「ワクワクする未来の姿に向かっていること」と「楽しんでいること」が重要であり、この2つが実現できていれば、企業も個人も成長し、幸福感が増すと説明する。

 永井氏がこう主張すると、決まって聞かれるのが次の3つの疑問である。

  1. ワクワクする目標を立てて、本当に企業が成長するのだろうか?
  2. ステークホルダー全員が楽しめる目標なんてあり得るのか?
  3. 高い目標に向かうのでは辛くないのだろうか?

 1については、永井氏はこう説明する。こういった疑問を持つのは「今年5%成長をしたから、来年も5%にする」といように、過去をベースに未来を描くことで目標を設定しているからである。そのやり方だと、いつまでたっても過去を引きずってしまう。そうではなく、未来の姿を描いてそこから逆算することを、永井氏は推奨する。明るい未来をまずは予想し、そこから5年後、3年後、1年後の姿を逆算する、バックキャスティングの発想が重要であるという。現に、大和総研は2014年に、過去5年間連続して営業利益の増加率が10%を超える企業37社のうち、33社がホームページ上にビジョンを提示していたとの調査結果を発表している。つまり、ワクワクする目標を掲げることは、企業の成長と大きく関係しているのだ。

 2については、永井氏は「あり得る」と話した。一般的な企業の中期経営計画には、収益目標や資源政策などが書いてあるが、確かにそれでは株主ぐらいしか楽しめない。しかし、企業のパーパスを掲げることで、ステークホルダー全員が楽しめるような目標を設定することは可能である。森ビルは、2009年に「空に希望を。地上に緑を。地下に喜びを。」という企業広告を発信した。仕事と住まいと遊びがぎゅっと詰まったコンパクトシティを目指すことが容易に想像でき、部外者であっても、この手の都市が好きな人はワクワクできる。このような発想で、ステークホルダー全員がワクワクできる目標設定を行うのが大事なのだ。

 3について、永井氏は「辛くない」と断言する。たとえば、営業目標を与えられ、成果をグラフにして貼り出されている営業社員が辛いのは、「比較されるから」である。人と比べて足りないところを見るのではなく、どれだけできるようになったのかを見る意味での“相対評価”が大切だ。一人ひとりの成長を祝うカルチャーが生まれれば、高い目標に楽しく向き合えるし、企業は成長すると永井氏は説明した。

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