なぜ「顧客の成功」の定義に失敗する企業が多いのか
小林泰己氏(ベルフェイス株式会社、以下敬称略):HiCustomerさんは「顧客の可視化」を顧客の成功までのライフサイクルによるステージ制で把握していらっしゃるし、それを自社の顧客にも勧めているという話でしたね。しかし、先ほど高橋さんは「顧客の成功」を定義できない企業の方も多いとおっしゃいました。どういうことでしょうか。
高橋歩氏(HiCustomer株式会社、以下敬称略):私たちのお客様は企業内でカスタマーサクセスを担当している方々ですが、「ゴールを考えましょう」と伝えると、最初に継続率に言及する方が非常に多いです。しかし、継続率は企業側の視点であって、ユーザーにとっては「製品を使い続けること」は決してゴールではないですよね。
小林:製品サービスのコアバリューは何かという視点が抜けてしまいがちということですね。
鈴木雄太氏(株式会社ビズリーチ HRMOS採用事業部、以下敬称略):「顧客の成功」ということは、お客様ごとにゴールが異なるのではないでしょうか。たとえば、HRMOS採用はエージェント管理機能が好評で、その機能をご利用いただいているお客様の継続率は非常に高いです。一方で、エージェントだけに注力せず、採用マーケティングの実行に注力するお客様もいる。先ほど紹介した取り組みでも、目標設定はお客様のゴールに合わせて個別に設計しています。
小林:ベルフェイスはシンプルなプロダクトなので違いますが、マルチプロダクトになったり、複数の使い方ができるプロダクトになったりすると、異なるゴール設定をする必要が出てきそうですね。ある程度は分類できるのではないでしょうか。
高橋:顧客の状態がきちんとわかれば、顧客を分類でき、分類ごとに必要なタイミングでアクションがとれるようになります。