小売業のデジタル変革の鍵は「人」への投資
Walmartは全方位的にデジタルトランスフォーメーションを進めているが、必ずしもテクノロジーありきではないという。IT投資額はAmazon、Alphabetに続き全米3位となるが、2018年に1700人のエンジニアを採用し、2019年にはさらに2000人の追加採用を検討するなど、あくまで投資対象は「人」だ。「機械を訓練し、最適な学習結果を導き出すのは“人”である」という考えに基づくものだという。
Walmartが考えるAI活用強化のエコシステムの基盤となるのが、自社の商品がどんな価値観を持つ顧客に購入されているかを把握して商品の持つ価値を判別する「商品DNA」だ。商品DNAによって意味づけを行った行動データを、ビジネス側で課題から仮説を立案し、エンジニア側が分析を行うという「機械学習モデル」が紹介された。これを活かすのが、「Test&Learn」というWalmart独自の高速PDCAの仕組みだという。「1.アイディア(ビジネス仮説)」から始め、「2.実証/分析」、「3.拡大検証」へとつなげ、必ず計測可能な手法でぐるぐると回していく。機械学習ではエンジニアが人の知見を活用しながら学習させ、アウトプットに対してビジネス側が評価・フィードバックを行う。ビジネスとエンジニアが強力にタッグを組み、それが仕組み化されていることがポイントだ。