ここ数年のサービスデザインへの世界的な関心の高まり
古澤恵太氏(サービスデザイナー、以下敬称略):2020年2月に赤羽さんが日本語版制作協力者をなさっている『This is Service Design Doing サービスデザインの実践』が出版されましたが、2013年にはその前著である『THIS IS SERVICE DESIGN THINKING. Basics - Tools - Casesー領域横断的アプローチによるビジネスモデルの設計』が出版されていますね。
2013年はサービスデザインネットワーク日本支部が立ち上がった年でもあります。2013年から今までを見通すと、サービスデザインに関してはどんな変化があったのでしょうか。
赤羽太郎氏(株式会社コンセント シニアサービスデザイナー、以下敬称略):私は2012年にパリで行われたサービスデザインネットワークのカンファレンスに、『This is Service Design Doing サービスデザインの実践』の監修者でもある弊社代表の長谷川敦士と一緒に参加しました。
もともとサービスデザインはドイツ発祥で、イギリスや北欧で活発に取り入れられていましたが、最近はポルトガルやスペインの事例が増えてきています。また以前は首都圏での活動が多かったのですが、フランスのリヨンなど、地方都市の支部も増えてきています。早くからサービスデザインの盛んな国としては、あとはオーストラリアがあります。2013年の当時からオーストラリアからもプレゼンテーションがあったことを記憶しています。
アメリカは、2012年くらいまではイベントで会った人たちにもサービスデザインについて懐疑的な語り口の人もいたのですが、いまはとても積極的な印象です。2013年にAccenture社がFjord社を、2014年にはCapital OneがAdaptive Pathを買収するなど、事業会社やコンサルティングファームがデザインファームの買収を進める動きの影響もあるかもしれません。アメリカではニューヨークやシカゴ、ダラスなど、各都市のサービスデザインの活動も盛んです。
アジアでいえば、中国でもかなり大規模なサービスデザインの取り組みがされていて、最近は毎年グローバルカンファレンスで中国からのプレゼンテーションがあります。台湾、韓国などからも毎年参加者はけっこうな数います。アフリカにも新しい支部がいくつか出来ていて、実践報告もそろそろ上がってきそうな感じです。
最初に私が参加したパリのグローバルカンファレンスでは参加者は300人程度でしたが、最近は800人以上入る会場で行われるようになりました。それだけ参加者が増えているということで、盛り上がりを実感する機会ですね。