ブランドビジョンを分解し、タッチポイントを設計する
成熟した市場環境でブレイクスルーを起こすには「顧客との共創」が重要だと、前回までに述べた。共創はまさに顧客とのタッチポイントで生まれる。従来型の事業開発には、商品・サービスの開発に先だってタッチポイント設計を行う発想はなかった。それに挑戦するのが5BSだ。
5BSのタッチポイント設計には4つのステップがある。「1:ブランドビジョンからクラスタージャーニーマップをつくる」「2:クラスタージャーニーマップから価値提供の重点ポイントを定める」「3:TO-BE型カスタマージャーニーマップをつくる」「4:クラスタージャーニーマップとTO-BE型カスタマージャーニーマップを統合してタッチポイント設計する」である。
顧客の体験を時間軸に沿って検証する有効なツールと言えば、「カスタマージャーニーマップ(以下、CJM)」が一般的だ。実際の業務やワークショップで活用したことのある人も多いだろう。CJMではペルソナを設定し、その行動を一連の流れで捉え、さらに感情の変化の動きを考察することで、顧客体験と顧客接点の問題を洗い出し解決する。
5BSのタッチポイント設計でもCJMを活用するが、CJM作成の前に、ブランドビジョンから導き出した「クラスタージャーニーマップ」を作成する。クラスタージャーニーマップは筆者が考案したものだが、マップの作成に際して、まずブランドビジョンを「ブランドターゲット」「提供する機能的価値」「提供する情緒的価値」「提供する体験価値」の4つの要素に分解する。次に、この4要素それぞれに親和性の高い既存の「クラスター」や「コミュニティ」を探索し、彼らの動線上にあるオンライン&オフラインのタッチポイントを見つけ、新規事業のタッチポイントとして仮置きする。