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事業ポートフォリオとしての新事業創造

なぜ新規事業は立ち上がらないのか──「新事業領域の立ち上げ」を仕組みとして整備する“三種の神器”

第1回

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 過去に筆者が翻訳・出版した『ビジネスモデル・ナビゲーター』や『イノベーションの攻略書』について、読者の方から「書いてある内容は理解できるが自社の実態とかけ離れている」といったご意見を頂くことがある。本連載では、日本企業の実情に即した形で欧州発のイノベーション・フレームワークを適切に導入する方法について解説する。国内大企業での新事業立ち上げ経験、コンサルタントとして大企業の新規事業立ち上げを支援してきた経験、企業投資や先端技術の調査の担当としてシリコンバレーに駐在した経験、さらには教育者として企業や大学等でイノベーション手法の教育を行ってきた経験を元に解説したい。

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新規事業が立ち上がらない理由

 多くの企業では、研究開発部門での新技術開発にとどまらず、事業創造の観点からも様々な取り組みを実施し、それぞれに一定の成果をあげている。イノベーションラボ、社内アイデアコンテスト、アクセラレータープログラム、CVC、オープンイノベーション、ビジネスモデル創造ワークショップを通じた新事業創造スキル向上など、いずれかに取り組んだ読者も多いのではないだろうか。

 それにもかかわらず、将来の事業の柱となるような新事業が生まれない、という声を聞くことが多いのはなぜだろうか?

 筆者の経験上、新事業領域を事業ポートフォリオとして捉えるのでなく、各々が単独で新事業を立ち上げようと考えることが原因の一つではないかと推測している。既存事業領域以外で数百億円、数千億円と稼ぐ画期的な単一の新事業をイメージしてしまうことが主な要因だ。筆者がクライアント企業から受ける下記のような相談内容から、これは推測ではなく真実ではないかと思っている。

  • そんな事業を考え出して立ち上げるなんて想像もできない
  • 経営陣から百億円規模の新事業を立ち上げるように言われているが、そんな市場には既に他社が取り組んでいてレッドオーシャンだ
  • 逆に自社で差別化できそうなブルーオーシャンの事業はニッチで市場が小さい

などの相談を受けることも多い。

 土地勘のない新たな事業領域に、「ゼロイチ」で新規事業を創造しようとするため、「百億円のレッドオーシャン」か「市場の小さなブルーオーシャン」か、という二択のジレンマに陥っている。このような場合、筆者は単体の新規事業でなく、特定の新規事業領域の立ち上げをイメージするようにアドバイスしている。

 別のケースとして、市場規模でなく手軽かつ見栄えのよさを優先した小粒の新規事業もよく目にする。企業のブランディングという意味では有効であるが、果たしてこのような施策から将来の事業の柱が生まれるのであろうか。見過ごせない疑問が残る。

 では、欧州企業は一体どのように取り組みを進めているのか。今回は、次世代の柱となる事業を創造するために、欧州の大企業が実施している取り組みについて、主に事業戦略部門の観点から解説したい。

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この記事の著者

渡邊 哲(ワタナベ サトル)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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