モダンCXで解明する、液体洗剤が売れなくなった理由
では、Xデータはどのように活用できるのだろうか。久崎氏が取り上げたのは、液体洗剤が売れなくなった場合の原因究明方法に活用した事例である。
液体洗剤が売れなくなった場合、従来の原因究明方法ではCRMやPOSなど、様々なシステムからの「Oデータ(オペレーショナル・データ)」を確認する。Oデータからは、売り上げや客単価、どういったキャンペーンによって売れているのか、どの年齢層でどれだけ売れているのか等が調べられる。
しかし、Oデータでは読み取れないことがある。それは、感情や心理に関する事柄が原因となる場合だ。例えば、顧客が環境を配慮しはじめて液体洗剤を買わなくなった、断捨離をしたくなって大きなボトルが邪魔だと感じるようになった、コロナによって気分が塞いで洗濯をする気にもならない、など。そのような理由で液体洗剤を買わなくなった場合には、Oデータだけでは原因が掴めない。そのような場合には、顧客の感情や心理を把握できるようにしたXデータが有効に機能する。
Xデータを取得していれば、打ち手も考えやすい。例えば液体洗剤を買わなくなった人たちが総じて環境を配慮していると把握できれば、ゴミを減らせるように詰め替えパックの種類を増やすなどと、顧客の気持ちに寄り添った提案ができる。断捨離によって、大きなボトルが邪魔だと感じているとわかれば、小さなボトルの製品を提供することが打開策になるかもしれない。コロナによって、洗濯をする気にならないほど気分が塞いでいることが販売不振の理由と考えられるのであれば、部屋干しの洗濯物からアロマ効果を得られるような洗剤を提供するなど、対策を考えられる。
では、こういったXデータはどうやって取得したらいいのだろうか。その方法は様々だが、顧客の声を取得する際に、必要なXデータも合わせて取得できるように質問項目を設計することが必要だ。そして、獲得したXデータによって、ライフスタイルを含めて顧客を理解し、購入中の体験だけでなく普段の生活の中でより良い体験ができるように、超・個別化したサービスを提供する。これが「モダンCX」なのである。