ミスターミニットは1957年にベルギーで創業以来、靴修理サービスと合カギ作製サービスを主な事業としている。1972年に日本に上陸、2006年にはMBO(マネジメント・バイアウト)により欧州のミニット・グループから独立し、アジア太平洋地域のミニット・グループ(日本、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、マレーシア)を統括するミニット・アジア・パシフィックとなった。靴修理・合カギ作製以外に、時計電池交換・時計修理などの新たなサービスを追加して店舗数を拡大しており、日本で約300店舗、5カ国合計で約650店舗を運営している。
ミニット・アジア・パシフィックでは、海外子会社を含む連結財務諸表を作成する際、従来、表計算ソフトで各国の財務データを収集し、日本本社で手作業による集計、各種連結処理、レポート作成を行っていた。そのため、作業に時間が掛かり、収支状況の把握に約10営業日を要していた。また、各国で表計算ソフトをカスタマイズしているため業務の可視化ができず、日本本社のガバナンスが効きづらい状態が存在していた。属人化の排除、決算報告の標準化と早期化、本社のガバナンス向上を目指し、連結決算業務の見直しが急務となっていた。
新しい連結経営管理システム導入の要件として、利用者の多くが海外子会社に所属しているため、グローバル対応であることが重視されている。その結果、国内外で多数の実績を有し高い評価を得ている「Oracle Hyperion Financial Management」のナレッジを集約した「Oracle Fusion Cloud EPM」を採用、業務を標準化してガバナンスの向上につなげることになった。グローバル対応にリソースを割くことなく、また日本本社のIT部門の負荷が少ないSaaSでの提供形態も評価するポイントとなった。また、ベスト・プラクティスを内包する連結経営管理テンプレートを活用し、日本の制度連結も含めた標準化されたプロセスに沿ったパッケージとして提供されるため、導入期間の短縮と開発コスト削減に寄与することも評価された。
本プロジェクトは、日本オラクルのコンサルティング・サービス部門により、2020年5月から構築を開始し、10月に日本本社での稼働を開始した。現在、海外拠点に展開中で、2021年4月に本格稼働を予定している。日本と海外拠点の決算業務プロセスを標準化・効率化し、連結決算報告に係る時間を約3分の1、短縮することを目指している。また、既存店成長率や店舗数などの非財務情報であるKPIも、「Oracle Fusion Cloud EPM」上で一元管理する。
ミニット・アジア・パシフィック株式会社 経営企画部長 佐々木 謙一氏は、以下のようにコメントしている。
「1972年に日本で創業し、現在、日本だけでなくオーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、マレーシアの計5カ国で『ミスターミニット』を運営しています。世界に広がるミスターミニットのネットワークを活用し、技術協力やサービス向上を図ると同時に、海外拠点と一体となり経営基盤を強化していかなくてはなりません。今回採用した『Oracle Fusion Cloud EPM』は、グループ全体の決算報告業務のプロセスを標準化し、グローバル企業に必須となる迅速かつ正確な意思決定を支援する経営管理ソリューションであると期待しています」