行動経済学とゲーム理論を組み合わせ、長期的にインパクトのある社会実装を実現する
馬田:さきほどの環境対応の例では、「ゲーム理論」と「行動経済学」は補完し合う関係でしょうか。
安田:はい。ある企業が環境や社会に対して良い取り組みを熱心にしたとしても、それがきちんと消費者に伝われなければ、環境負荷は高いけれど、より安い商品やクオリティの高い商品を作る他社にシェアを奪われてしまう可能性がある。そのような場合に、環境への取り組みが損にならないような仕組みでルールを変えるのが、ゲーム理論の発想による提言になると思います。また、金銭的なインセンティブがまったく紐付かないナッジは、短期での有効性はあっても、長期になると人々が慣れてしまって効き目がなくなるという報告[3]もあります。初期にわかりやすいナッジで人々の背中を押してあげ、それが長期的に経済的なインセンティブに合致するような仕組みを設計できると、より長期的かつインパクトのある社会実装ができるのではないかと思います。