インタビュー Purposeを起点とした新しい経営

なぜJ-オイルミルズは企業理念体系を新たに策定したのか──ビジョン・ミッションを支えるパーパスの役割

第6回 ゲスト:J-オイルミルズ 未来創造センター/油脂事業部

 いま企業のあいだでは、社会における“存在意義=Purpose(パーパス)”を再定義して「何のために存在しているのか」、社員一人ひとりは「何のために働くのか」を明確にする動きが活発になっています。これは、技術革新や時代の変化によって消費者ニーズや価値観が変化したことや、企業都合のビジネスではなくサステナブルな経営が求められるようになった社会の変化も影響しています。
 このシリーズでは企業のビジョンやパーパスの言語化支援を得意とするIdeal Leaders株式会社のメンバーが既にパーパスを導入している企業の方をゲストに迎え、パーパスのメリットを解き明かしていきます。今回のゲストは株式会社J-オイルミルズ 未来創造センターの竹田健祐氏、佐竹恵氏、油脂事業部の白井謙氏。パーパス策定のプロセスと、ビジョン・ミッション・行動指針の関係、社内の浸透方法について聞きました。聞き手はIdeal Leaders株式会社COO後藤照典氏です。

[公開日]

[語り手] 竹田 健祐 佐竹 恵 白井 謙 [聞] 後藤 照典 [著] フェリックス清香 [編] 梶川 元貴(Biz/Zine編集部)

[タグ] マネジメント ビジョン ミッション パーパス 経営 Purpose

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

J-オイルミルズが企業理念体系を整理した理由

後藤照典氏(Ideal Leaders株式会社COO、以下敬称略):株式会社J-オイルミルズは2021年4月に下図のように新企業理念体系(ビジョン・ミッション・バリュー/パーパス)を発表されました。新しい企業理念体系ということですが、どのような経緯で企業理念体系を整理されたのでしょうか。

新企業理念(VMVと行動指針/行動規範)画像クリックで拡大表示

竹田健祐氏(株式会社J-オイルミルズ 未来創造センター長、以降敬称略):理念体系を作ったのは、2003年に味の素製油、ホーネンコーポレーション、吉原製油の3社が統合して株式会社J-オイルミルズになった際に、それぞれの風土の統合に苦労していたことがきっかけです。

 以前の企業理念は2017年10月に策定しましたが、いくつかの課題が出てきました。1つは、シンプルな言葉を選びすぎて具体的な内容が伝わらず、周知はできていたものの社員一人ひとりが理念に基づいて仕事をすることができなかったことです。また、以前の企業理念体系は油脂事業に寄りすぎているという課題もありました。「あぶら」はJ-オイルミルズの中心事業ですが、油脂以外の事業も手がけています。

 こういった課題意識から、第六期中期経営計画の策定にあわせて、旧企業理念体系から“守りたいもの”と“変えたいもの・追加したいもの”を考え、新企業理念体系として整理しました。

後藤:多くの企業が前のものを振り返らず、ゼロベースで作ってしまっていますが、前の企業理念を振り返った上で新しいものを考えたのはすばらしいですね。やはり前の企業理念が一定程度、浸透していたということなのでしょうね。

竹田:そうですね。心に残っているワードがあったようで、社長の八馬(史尚氏)も「今回は解像度を高めたものになった」と言っていました。

後藤:八馬社長はどのように企業理念体系の策定に関わってらっしゃったのですか? どのような体制で、どのくらいの時間をかけて企業理念体系の策定を進めていったのか教えてください。

竹田:第六期中計策定と連動した議論だったので、コアになったメンバーは各部門の部長やグループ長17名と役員で、30名ほどです。ただ、全社員の意見を収集するときに、各部門で中心になるメンバーを選んでもらったので、彼らも合わせると、約70名が関わりました。

 全社員に対するアンケートは、任意のものだったので全員からというわけにはいきませんでしたが、全社員約1,300人のうち408人から回答をもらいました。様々な意見が出てきており、それらも検討の材料としました。

佐竹恵氏(株式会社J-オイルミルズ 未来創造センター):中計の検討は2020年5月ごろから議論が始まり、企業理念体系が決まったのが12月なので、7ヵ月間毎週1回、2時間の会議時間のうち3割程度の時間を割いています。

竹田:最も時間を使ったのは八馬だと思います。私の部署は社長直下なので、素案をまず八馬と議論しながら作り、毎週のミーティングで部長・グループ長たちに意見をもらいながら表現やストーリーを見直し、月次の役員が参加する会議でも意見をもらいながらブラッシュアップしました。ミーティングには八馬も参加していましたが、その場ではあまり言葉を発しないで、意見を聞いていました。最終的な決定は八馬が行いましたが、ブラッシュアップの過程では、自分の意見も入れつつ他の方の意見を取り入れることを意識していたように思います。

後藤:社長が自分の考えを押し通すのではなく、しっかりと意見を聞いて反映し、最後にきっちりと決断されたのですね。最後に意見が割れたときにトップが決められず苦労するという話をときどき聞きますので、非常に模範的なプロセスだと感じました。

株式会社J-オイルミルズ 未来創造センター 佐竹恵氏株式会社J-オイルミルズ 未来創造センター 佐竹恵氏

バックナンバー