「商品市場の高度化」という変化の影響
日本企業を取り巻く経済状況は、以下の白書のコメントからも分かるように、厳しい局面にある。
「2020年から世界的に大流行している新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、国内外で社会経済活動の抑制が余儀なくされており、2020 年の国内総生産(実質 GDP)は、対前年比でマイナス 4.8%」
出典:経済産業省「2021年版 ものづくり白書(令和2年度 ものづくり基盤技術の振興施策)」(経済産業省 2021/05/28)
新型コロナウイルス感染症の流行以前から、VUCAと呼ばれていたように、企業の事業環境の不確実性は高い。早稲田大学の入山教授は著書『世界標準の経営理論』の中で、「急速に変化するビジネス環境の中で、変化に対応するために内外の様々なリソースを組み合わせ直し続ける、企業固有の能力・ルーティン」の総称として、カリフォルニア大学の経営学者のデイヴィッド・ティースが提唱する「ダイナミック・ケイパビリティ」という経営概念を引用し、環境変化に適応すべき企業に有効な視点として紹介している。