本実証実験は、川崎市が提供する実証フィールドの1つである鋼管通り交差点(川崎市川崎区)にておこなわれるという。
実施期間は2021年8月10日~2022年3月31日で、具体的には、汎用的なカメラを交差点に設置し、1秒間に15~30コマ(15~30fps)程度のシャッタースピードで、車の流れを動画で撮影。動画の各コマに写った車両が同一車両か判別するため、量子コンピュータを活用し、車両の位置や外観の情報をもとに、条件が最も近い車両をマッチングさせる数理最適化を実行するという。これにより、リアルタイムに車両の動きを捉え、交通の流れを把握できるか検証するとしている。
実証実験の概要
本実証実験は1台のカメラで実施する前半と、複数台のカメラで実施・検証する後半にわかれている。また、撮影には汎用的なカメラを用いることで、将来的には交差点などに設置されているカメラなどの活用により低コスト化を実現し、より多くの地域での活用を目指すという。使用する量子コンピューターはアニーリング型で、シミュレーテッド・アニーリングマシンを含むNECや他社製のコンピュータの機種から、最適なものを選択するとしている。
1台のカメラによる実証実験:2021年8月~9月
1台のカメラで車の流れを撮影。動画の各コマに写った車両の類似度をもとに、同一車両を判別して動きを捉えることができるか検証する。
複数のカメラによる実証実験:2021年10月~12月
複数のカメラで車の流れを撮影し、複数のカメラで撮影した場合においても、動画の各コマに写った車両の類似度をもとに、同一車両をリアルタイムに判別し、動きを捉えることができるか検証する。これにより、カメラ1台では撮影できない車両がある場合においても、設置位置・角度を変えたほかのカメラで撮影した車両と照合することで、車両の動きを把握できるか確認する。
同社は今後、本実証実験の結果によって、季節や時間帯をふまえた最適な交通流を把握し、将来的には、信号の制御などで交通渋滞の解消を実現することを目指すという。また、量子コンピュータをはじめとしたICTによって地域の課題解決や価値創造を行い、スマートシティの実現に貢献するとしている。