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民主化する「プロトタイピング」の新潮流

事業開発を効果的に進める「プロトタイピング戦略」──関係者の認識が噛み合わない理由と解消方法

第3回

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 プロトタイピングはデザイナーやエンジニアなど、ものづくりが得意な人たちがするもの。そのように捉えている事業開発担当者も多く、アイデアやコンセプトの事業化を進めていく段階で、プロトタイピングを実施しない、もしくは製作だけを外部パートナーに外注しているケースが多く見受けられます。本連載ではアカデミックとビジネスの知識・経験を交えながらプロトタイピングを行う意義や具体的な方法まで徹底的に解説します。  本稿では、プロトタイピングにおいて発生する「認識の乖離」という課題に対して、乖離を防ぐための2つの視点、プロトタイピングの実施を効率化するプロトタイピング戦略を中心に解説します。

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なぜプロトタイピングでは“誰もが異なることを期待している”のか

 プロトタイピングを実施する上での難しさのひとつに、プロトタイピングについての認識に関する乖離が発生しやすいことが挙げられます。例えば、以下のように、事業開発を進めている際のAさんとBさんの会話のひとコマを見ていきましょう。

 Aさんが、「とりあえずプロトタイピングしてみませんか?」という。それに対してBさんが「いや、プロトタイピングはある程度検証する仕様を固めてからでないと、時間の無駄になっちゃう可能性もあるのではないでしょうか?」と返す。 それに対してAさんが「うーん、とりあえず仕様とかいいので、認識がズレているかもですし、手を動かすことが重要だと思いますが」とさらに返します。

プロトタイピング

 このやり取り、少しすれ違っている、いや大きくズレてしまっています。しかし、このようなやり取りは実際のプロジェクトでもよく発生することなのです。

「誰もがみんな、プロトタイピングについて異なることを期待している」

 IBMでUX Design Leadを務めたStephanie Houdeさんは、1997年に発表した論文[1]の中で、上記のように述べています。

 プロトタイピングはエンジニアリング分野からはじまり、デザイン分野でも用いられるようになった影響で、エンジニアリング分野とデザイン分野で定義や手法が少しずつ異なります。

プロトタイピング画像クリックで拡大

 だからこそ、「誰もが異なることを期待」しており、認識が乖離しているのです。彼女が指摘した内容は、上記のAさんとBさんのやり取りを想起させるのではないでしょうか。

認識の乖離を防ぐための「開発プロセス」という視点

 このようなプロトタイピングについての認識の乖離を防ぐためには、ふたつの視点を持っておくべきだと考えています。それが、「開発プロセス」と「分類」です。

 まずひとつ目の視点が「開発プロセス」です。開発プロセスとは新規事業を構築する上でのプロセスをまとめたもので、本項では例として以下のような開発プロセスを用います。

プロトタイピング画像クリックで拡大

 アイデアを考えてコンセプトを決め、設計をして結合をして生産、市場投入、というものですが、これは先行研究をベースに整理したもので、あくまで一例です。ここで重要なのは、「開発プロセス」という視点を持つことであって、上記のプロセスの意味合いではありません。当然、アジャイル型のプロセスもあれば、市場投入した後のメンテナンスが重要なプロセスもあります。そこは、それぞれのプロジェクトに最適化したもので考えください。ここでは、「開発プロセス」という視点を持つことを意識していただければと思います。


[1]Stephanie Houde and Charles Hill「Handbook of Human-Computer Interaction (Second Edition) Chapter 16 - What do Prototypes Prototype?」(North-Holland,1997,Pages 367-381)

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この記事の著者

三冨 敬太(ミトミ ケイタ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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