政府や規制政策から見た、企業が策定する「ルール」の意義
以上で挙げたような企業が策定する「ルール」には、どのような意義があるのでしょうか。まず、政府の視点・規制政策の観点としては、一部の規制を民間のルールに委ねることにより、以下のような意義を挙げることができます。
- 法規制では対応の困難な個別性の高い事象にも対応しやすいこと
- 企業側の専門性を活かすことができること
- 規制のあり方について議論が成熟していない領域や政府による規制が行いにくい領域にも対応がしやすいこと
売買プラットフォームでの「宿題の売買」
たとえば、「企業が顧客などを対象として策定するルール」のうち売買プラットフォームにおける取引ルールには、上記1の意義がよく表れています。2018年に、オークションサイトやフリマアプリなどを展開する各社が、文部科学省と協議の上、宿題の出品を禁止する方針を打ち出したことが話題になりました[3]。仮に政府が宿題の売買を規制したいと考えたとしても、法規制でこれを禁止することはなかなか難しいと思われます。