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新しい資本主義、新しい経営

「大きな船」としてのパーパス、ステークホルダー資本主義──“意義化する経済”における新しい経営とは?

ゲスト:武蔵野美術大学クリエイティブイノベーション学科 教授 岩嵜博論氏

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 ビジネスというゲームのルールが急速に、劇的に変化している。経営はどう変わる必要があるのか。本連載では、新たに武蔵野美術大学クリエイティブイノベーション学科に着任したビジネスデザイナー岩嵜博論氏をモデレーターに、経営者・実践者などとの対談により、新しい資本主義と企業経営のカタチを明らかにすることを目指す。連載本編に先立ち、岩嵜氏に編集部がインタビューした。武蔵野美術大学の教授としての着任、共著書『パーパス 「意義化」する経済とその先』の上梓といった岩嵜氏の最近の動きから、新たな企業経営のカタチを聞いた。

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都市型デザインスクールが目指す、ビジネスにおけるデザインの力

──岩嵜さんの近況から伺いたいと思います。なぜ武蔵野美術大学(以下、武蔵美)に着任されたのでしょうか。

岩嵜 博論氏(武蔵野美術大学クリエイティブイノベーション学科 教授/ビジネスデザイナー、以下敬称略):武蔵美のメインキャンパスは小平にありますが、3年前に市ヶ谷に新規にビルを取得し、都市型の総合デザインスクール、かつ社会との接点を作ることを意識して新たな学科が作られました。それが、現在僕が教員を務めているクリエイティブイノベーション学科です。日本の美大で、修士や博士まであり、研究所もあって、企業との共同研究や産学連携までを視野に入れているのは非常に珍しい。それは都市型のキャンパスだからこそできることでしょう。

──確かに美大のキャンパスの多くは郊外にあり、産学連携の難しさの一因になっていそうです。

岩嵜:特にいいなと思ったのは、この「都市型の総合デザインスクール」というアプローチです。僕は2010〜11年にシカゴのイリノイ工科大学デザイン大学院(IIT ID=Illionois Institute of Technology, Institute of Design)にいたのですが、あれこそがまさに、都市型の総合デザインスクールと呼べるものでした。社会との接点を持ち、シカゴの企業やNPO、行政とさまざまなプロジェクトを行っていた。そこから輩出された人が、デザインコンサルや企業のイノベーション部門、行政部門でパブリックサービスをデザインするなど、多方面で活躍してもいました。

 武蔵美が新しくやろうとしていることは、それとすごく重なる部分があると思ったのです。改めて世界を見渡せば、シカゴには僕がいたIIT IDがあり、ニューヨークにはパーソンズ スクール オブ デザイン、ロンドンにはロイヤルカレッジオブアート(RCA)がある。これらはすべて都市型の、社会やビジネスとの接点を持ったデザインスクールです。

 東京にはこれまで、こうした形の「都市型の総合デザインスクール」が存在しませんでした。武蔵美であれば、グローバル水準のデザイン教育と実践、社会との接点を作ることを東京で実現できるのではないか。そう考えたのが、最大の動機です。

──産学連携という話がありました。デザインとビジネスの接続点という意味ではいかがでしょうか。

岩嵜:はい。もう一つの理由としては以前から言われていることですが、デザインの意味をしっかりと再定義する必要があると改めて感じています。

 グローバルでは今、デザインがより密接に産業やビジネスと結びつき、新しい価値を作る役割を持ち始めています。今回のコロナ禍でもはっきりしましたが、今は複雑で先が見えない世の中です。そうした状況下で構想力を発揮できるデザインというケイパビリティが、より社会やビジネスに役立つようになってきています。

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