組織を改革・成長させる「DX活用」2つのTips
セッションの冒頭、南雲氏は、エグゼクティブ・サマリーとして、DX活用に関する2つのTipsを示した。1つ目は、論理やロジックで勝率を上げていく左脳的アプローチと、直感や感情、勘によって構造的優位性を高める右脳的アプローチの両輪においてDXを活用するという考え方だ。
南雲氏は、これを常に強く意識する理由として、「DXであらゆる事象を数字で可視化することは、再現性を高め、勝率を上げることにつながる。さらには社内に説明し、納得感を獲得するという目的においても重要だ。そして、DXを活用してブランドらしい顧客体験(CX)を高めることは組織の総意であり、それをしっかりと掲げることで、社内の推進力を高められる」と説明した。
そして、2つ目のTipsとして「パーパス・ビジョンを起点に言語化すること」の重要性を強調する。それによって各部門の足並みが揃い、推進力とスピードが上がるというわけだ。
それでは、丸亀製麺ではどのようにして、2つのDX活用のTipsである「ビジネス拡大」と「CX(顧客体験)向上」を実践してきたのか。
丸亀製麺では、DXについて「デジタル技術」と「データ」の2つを活用することによって、CXを向上させ、ビジネスを持続的に成長させることと定義している。21年目を迎えた今、ブランドパーパスは、国内外合わせて1,050店舗以上(2021年9月時点)のすべてにおいて「『手づくりできたてのおいしさ』から生まれる“食の感動体験”で、世の中を“笑顔”でいっぱいに」と掲げており、ビジョンも共通して「顧客体験No.1」としている。
このパーパス起点のDX方針について、丸亀製麺を運営するトリドールホールディングスではDX推進の目的を次のように言語化している。
店舗は、お客様へ感動体験を提供するために、「手づくり・できたてのおいしさ」と「ライブ感ある実演調理」と「ぬくもりのある接客」に手間を惜しまず、人の手によってさらに強く表現していく。
南雲氏は「DXを使うことによって、店舗スタッフが“高いクオリティの商品提供はもちろんのこと、お客様のために今何をすべきか、笑顔になっていただくにはどうすべきかを考え行動することにかける時間”をとれるようにすることを目指している」と説明し、「残すべき強み」と「変化すべきもの」を明確化してDXを推進していることを強調した。