これまでデジタルマネーやCBDC(Central Bank Digital Currency、中央銀行デジタル通貨)がそれぞれ語られ、縦割りの議論となってきたが、いよいよグローバルでは具体的な検討が不可避の状況だ。金融庁が今事務年度から扱っているデジタル・分散型金融の研究会でもこれらが議論され、日本はどのような方向に進んでいくのか注目を集めている。「FINTECH JAPAN2021」では「デジタルマネーの近未来」と題して、これらの話題を横串で業界横断的に議論が行われた。登壇者は金融庁 企画市場局 総務課 デジタル・分散型金融企画室長 玉川英資氏、日本銀行 決済機構局 決済システム課 フィンテックグループ長 兼 デジタル通貨グループ企画役 鳩貝淳一郎氏、株式会社ディーカレット 代表取締役社長 時田一広氏、Coinbase株式会社 代表取締役 北澤直氏。モデレーターを一般社団法人Fintech協会 アドバイザー/株式会社マネーフォワード 執行役員 サステナビリティ担当 CoPA(Chief of Public Affairs)Fintech研究所長 瀧俊雄氏が務めた。
金融庁の資料にみる「ステーブルコイン」の論点
現在、金融庁ではステーブルコインについてどのように検討されているのか。2021年11月に金融庁から公開された「デジタル分散型金融のあり方の対応等に関する研究会」の資料を基に玉川氏が説明した。
ステーブルコインに関する議論はこの1〜2年で加速した。2019年にグローバルステーブルコイン構想が出された後に各国で議論が進み、EUでは2020年に規制案が出され、米国でも2021年にタスクフォースで規制の方向性が出されるなど、海外でも様々な制度に向けた検討が進んでいる。
そもそもステーブルコインとは、法律で定められている言葉ではないため、金融安定理事会(FSB、Financial Stability Board)では「特定の資産と関連して価値の安定を目的とするデジタルアセットで、分散台帳技術等を用いているものをいう」と定義。その上で、同研究会では、便宜的にそれをさらに2つに切り分け、「1.【デジタルマネー類似型】法定通貨の価値と連動した価格(例:1コイン=1円)で発行され、発行価格と同額で償還を約するもの(及びこれに準ずるもの)」と「2.アルゴリズムで価値の安定を試みるもの(1以外)」としている。
2つ目は暗号資産や電子記録移転権利も含めた金融商品等、1つ目のデジタルマネーとして使われるものについては、規制的対応が必要だと考えられている。
日本では、いわゆる“デジタルマネー”とされているものは20年前から存在するが、発行者と移転・管理者が異なるケースを制度的に想定していない。一方、現在米国などで流通しているステーブルコインは、発行者とまったく関係のない者が流通を担っている。先の研究会では(1)発行者、(2)仲介者、(3)発行者と仲介者の関係等に対する規律の3点について議論され、責任者の特定を前提とした従来の日本の規制とはアプローチがまったく異なる点に玉川氏は難しさを感じたという。
同時に、技術コミュニティ側と規制当局の間で共通のバックグラウンドが存在せず、用語の使い方から考え方まで異なるため、両者に乖離が生まれてしまうことが課題だと玉川氏は話す。
会員登録無料すると、続きをお読みいただけます
-
- Page 1
-
- Page 2
-
- Page 3
-
- Page 4
-
- Page 5
この記事は参考になりましたか?
- この記事の著者
-




