どこまで本源的欲求にさかのぼるか。課題の抽象化の調整問題とは
さて、もう一歩議論を進めたい。ここまでの議論を踏まえると、何でも本源的欲求にさかのぼれば良さそうに見える。しかし、実際には、本源的欲求はかなり抽象度の高い概念になるので、なんでもかんでも本源的欲求だけに注目すれば、具体的な解決方法が導けるわけではない。
例えば、極論みな「幸せになりたい」という本源的なニーズを持っているが、この「幸せになりたい」という本源的欲求に注目したところで、具体的な解決方法まで導けない。そこで、実践的な思考技術としては、本源的欲求にどれだけ近づけて考えるべきか、という「課題の抽象化の調整問題」が浮き上がる。