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デロイト トーマツ、「Tech Trends 2022 日本版」を発行

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 デロイト トーマツ グループは、デロイト グローバルがビジネスに関わるテクノロジー領域の最新動向や分析をまとめたレポートをもとに、日本独自の視点を加えた「Tech Trends 2022 日本版」を発行した。

 グローバル版では13回目、日本版では8回目の発行となる本レポートは7つの章で構成されており、今後1年半から2年の間にビジネスに大きな影響を与えるであろうテクノロジーのトレンドを取り上げ、テクノロジー分野やブロックチェーン、サイバーなどの専門家複数人が執筆しているという。

「Tech Trends 2022 日本版」が取り上げる7つのテーマと日本の動向

トレンド1 データシェアリング時代のはじまり

 今日の技術革新がデータシェアリングを実現し、時には人の解釈を介さずともAIが新たな示唆を生む可能性が現実のものとなってきている。来るデータシェアリング時代においては、データプラットフォームを通じて容易に外部データを購入し自社内の固有データと組み合わせ、セキュアな方法でデータを他社と共有するなど、新たな洞察やビジネスモデル、製品を生み出すことができるようになる。無限といってよいほど示唆や価値を生むデータを用いて、業務を横断して、あるいは既存の業界の枠を超えて、AIとともにさらなる変革を目指すには何をすべきかが論点となってきている。

トレンド2 インダストリークラウドの潮流

 DXの推進にはクラウドの活用が肝要であり、グローバルでは業種固有のクラウドビジネスサービスを積極的に利用し、差別化領域へのリソース集中を進める方向にシフトしている。一方、日本ではいまだ一般的なクラウド活用も限定的である。日本企業においては、外部の支援サービスと伴走しつつ全社ITインフラのクラウド化やランディングゾーンを備えたクラウドコンピューティング基盤などを推進し、海外の先進企業と同様に競争優位性をもたらす差別化領域へリソースやエネルギーを集中させることができるよう取り組むことが重要である。

トレンド3 ブロックチェーン:ビジネス利用への期待

 ビットコインやNFT、デジタル通貨などデジタル資産が躍進する中で、ビジネス取引においてもブロックチェーン活用が進んでいる。従来は金融業界での検証的なステージであったが他業界にも広がり、業界の垣根を超えたエコシステム型ビジネスに有効なことから、「送金・決済」「本人確認・ID」「健康・医療記録」などのセンシティブ情報の共有、企業間をまたがる「取引履歴」の保管など、特定の業界を越えて多くのユースケースがすでに生まれている。また、社会課題でも活用が期待され、脱炭素やエシカル消費などへのアプローチが経営の主アジェンダとなる中、海外では情報共有基盤としてブロックチェーンが採用する事例がいくつも生まれている。

トレンド4 IT部門の再構築:加速する自動化

 グローバルではクラウドプロバイダーが持つベストプラクティスを参考にしながら、自動化やセルフサービスを組み合わせて効率化やIT組織を変革する方向にシフトしている。一方、日本では多くの企業がIT運用をベンダーに委託していることや、欧米と比較してIT人財のハードルが相対的に低く報酬も低いことから、コストをかけて自動化を推進している企業が少ない。だが、人財の流動化の加速から、非効率な運用を変えようとしないベンダーからは優秀な人材の流出が起き、いずれ品質の低下につながる。こうした変化に備え、企業は自動化を取り入れて変革を進める必要がある。人とは同じように動かないソフトウェアを自動化させるためにはITのプロセスを見える化し、日本企業の得意領域である標準化と自動化の両輪を回していくことが鍵となる。

トレンド5 サイバーAI:真の防御

 サイバー攻撃は複雑化、巧妙化しており、AIによる防御の高度化が求められている。サイバーAIはアタッカーの動きよりも高速に対応できるだけでなく、彼らの動きを予測し事前に行動できるため、人は予防と復旧に集中でき、より積極的で弾力的なセキュリティ体制の構築ができる。

 また、さまざまな学習モデルのAIが普及するにつれ、それらを標的とした脅威が顕在化している。AIシステムは学習データの収集、学習データセットの生成、AIモデルの学習を経て実際に利活用される運用段階へ進むが、これら各フェーズにおいて現在50以上の攻撃手法がすでにある。AIはさまざまな分野で利用され、攻撃を受ければ自動運転での道路標識や車線の誤認識、医療診断支援システムでの誤認など生命を脅かす脅威にもなり得る。セキュアなAIを開発し、ビジネスや社会を加速させて組織のサイバーセキュリティーを強化するツールとして利活用することが重要である。

トレンド6 技術スタックは物理化する

 新たなテクノロジー活用が広がるにつれて普及したスマートデバイスや膨大なデータを管理し、安全に保っていくには、これまでのテクノロジー資産(技術スタック)の管理と異なる、規制や基準、ガバナンスなどのアプローチを要する。

 いま注目されているエッジAIでは、データをインターネット経由でクラウド環境に転送することなくデバイス側で処理し、AIモデルを用いて予測まで行うため、リアルタイムの情報処理やハッキングなどのセキュリティーリスクの低減、またクラウド環境でシステム障害が発生した際も影響を受けにくいといった特徴がある。エッジAIに関連するソリューションの市場規模は、2025年度には約10倍の413億円規模にまで拡大すると予想され、中でも自動運転と医療分野が大きく期待されている。

トレンド7 未来のフィールドノート

量子技術―量子技術の発展によって加速する次世代DXの実現は、遠い未来ではなく現在の延長線上にある。企業は、データ活用を推進するにあたり「何をすべきか」というビジネスアジェンダを定めること、投資領域を検討し人材育成に備えること、自社の立ち位置をとらえて差別化や協業によるイノベーションといった価値を生み出すため量子コンピューティングの動向を注視していくことが肝要である。

エクスポネンシャルインテリジェンス―従来、AIは複雑・大量のデータを分析し予測する目的で利用されてきたが、未来のAIは人間の感性にまで技術進化を遂げる。AIは我々の行動履歴を学習する以上、成長の方向性とスピードも限界があるため、今後AIをエクスポネンシャルに進化させるためには、AIの役割の認識を変え、オルタナティブデータや他者のチャンピオン・モデルと掛け合わせるといったことに果敢に取り込んでいくことが重要になる。

アンビエントエクスペリエンス―デバイスやAIなどの分析技術の発達により、人の気分や趣向、意識していない健康状態までも計測してデジタルに変換、処理できるようになると、これまでスクリーン・液晶を介することを前提としていたプロセスが省略され、現実とデジタルの境界を意識しない、「アンビエントエクスペリエンス」の実現が近い将来訪れるのかもしれない。日本企業は、近視眼的な費用対効果に捕らわれず、積極的に新技術の活用にチャレンジすることで競争力に大きなアドバンテージが得られるであろう。

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BizZine編集部(ビズジンヘンシュウブ)

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