メンバーズは、脱炭素と持続的なビジネス成長の同時実現を目指す企業向けに、サーキュラーエコノミー推進支援サービス「サーキュラー・ストラテジー・ソリューション」の提供を開始した。
背景と目的
気候変動問題が重要な社会課題と認識され、企業には温室効果ガス(Greenhouse Gas:GHG)の排出量を算定・報告する際の国際的な基準であるGHGプロトコルに沿って温室効果ガスを削減していくことが求められている。GHGプロトコルは、温室効果ガスの排出のされ方や排出者によって「スコープ1(直接排出量)」「スコープ2(間接排出量)」「スコープ3(そのほかの排出量)」の区分に分けられ、これら3つの合計を「サプライチェーン全体の温室効果ガス排出量」として算出するもの。
GHGプロトコルに沿って温室効果ガスを削減するためには、企業自らの直接排出(スコープ1)や、他社から供給された電気・熱等の使用に伴う間接排出(スコープ2)だけでなく、自社の事業活動に関連する事業者の排出や製品使用者の間接的排出(スコープ3)の削減まで求められる。
これを実現するためには、サプライチェーンの見直しのほか、産業革命以降の大量生産・大量消費・大量廃棄を生み出した「リニアエコノミー(直線型経済)」からの脱却、温室効果ガス排出量の削減と経済成長の両立(デカップリング)を実現する「サーキュラーエコノミー(循環経済)」への移行が必要となるという。特に、サーキュラーエコノミーへの移行には、製品・サービス設計の段階から廃棄や汚染が出ない仕組みづくりやビジネスモデルやエコシステムまで見渡したリデザインをおこなう思考が必要となり、さらには実現に向けたデジタルトランスフォーメーション(「DX」)の活用方法が重要な鍵となる。
こうした背景のもと、メンバーズは、サーキュラーエコノミー先進国オランダのサステナビリティ研究所で開発されたツール『Circularity DECK』の日本語版を昨年11月にリリースし、20社を超える企業に提供。この実績から、企業が既に展開している製品サービスやビジネスモデルをサーキュラーエコノミーに移行する上で採用すべき戦術を検討し、移行によるビジネスチャンスを模索できる戦略スキーム『サーキュラー・ストラテジー・ソリューション』を独自に開発し、この度、脱炭素と持続的なビジネス成長の同時実現を目指す企業向けに提供を開始した。
サーキュラー・ストラテジー・ソリューションとは
サーキュラーエコノミーの原則と戦略体系が記された『Circularity DECK』をベースに開発されたソリューションで、企業が既に展開している製品サービスやビジネスモデルをサーキュラーエコノミーに移行する上で採用すべき戦術を検討し、移行によるビジネスチャンスを模索できる戦略スキーム。
利用企業は、サーキュラーエコノミー戦略体系を自社の社員へ理解させることができると共に、先行事例を参考に、既存のビジネスモデルをサーキュラーエコノミーに移行するために自社がとるべきアイデアを社員とのワークショップを通じて取りまとめることが可能になるという。
また、ワークショップで出たアイデアは、移行プロセス、DX構築案、マーケティング案にまとめ、インサイトレポートとしてメンバーズより提供される。
サービス内容
1:サーキュラーエコノミー戦略体系の理解
- 5戦略(Narrow、Slow、Close、Regenerate、Inform)×3階層(Product、Business model、Ecosystem)
2:ワークショップ設計
- ワークショップの概要設計、テーマ選定、参加者想定
3:ワークショップ運営
- 当該社員を集め『Circularity DECK』を用いたワークショップの実施
4:ワークショップ実施内容のレポーティング
- ワークショップで討議された内容の整理&レポート化
5:インサイトレポート
- 課題と将来性のインサイトレポート
- 関連する海外事例の紹介
特長
特長1:サーキュラーエコノミーを体系化
- EU/欧州研究会議(ERC)が資金提供する野心的な研究プロジェクトにも採用
- 5戦略x3原則=51戦術にシンプル化、構造化された体系を採用、カードデッキで表現
特長2:学術的な裏打ち
- マーストリヒト大学・持続可能性研究所Jan Konietzko(ヤン・コニエツコ)教授が2年の月日を経て開発
- 数百社の企業を分析し開発したメソドロジーを基礎に開発
特徴3:参考となる海外事例情報の提供
- 貴社と親和性の高い(欧州を中心とした)循環経済最新事例を紹介
特徴4:意識改革とアイデアを発見するワークショップの実施
- 参加・体験型講座を意味するワークショップを通じて参加者の意識改革を図る
- 社内で埋没しがちなアイデアの発掘
特徴5:ドラフト案作成に向けた情報整理
- ワークショップ参加者の意見をレポートに集約
- 海外先行事例を参考に、DX構築案とマーケティング案にまとめたインサイトレポートを提供
期間&費用イメージ(基本パッケージプラン)
- 期間:6週間相当(最短4週間)
- 概要設計:1週間、ワークショップ1~2週間、レポート化2~3週間
- ワークショップ:12~24名/回、4時間/回想定
- 開催場所:リアル or オンライン
- 費用:1,100,000円(税別)
対象企業
- GHGプロトコル「スコープ3基準」のスコープ3削減に向けたプロジェクトを模索している企業
- 既存事業をサーキュラーエコノミー型に移行していきたい企業
- サーキュラーエコノミー型の新規事業を企画している企業
- サーキュラーエコノミーに関する社内浸透を図りたい、社内横断型のプロジェクトを立ち上げたい企業
- サーキュラーエコノミーの概念に基づく企業ビジョン・戦略を策定したい企業
『Circularity DECK(サーキュラリティデッキ)日本語版』について
『Circularity DECK(サーキュラリティデッキ)」は、サーキュラーエコノミーの原則を理解し、企業内での共通理解や言語化、サーキュラーエコノミーに向けた新しいアイデアや取り組むべきアクションを特定するフレームワークをカードデッキにしたもの。
- オランダ・マーストリヒト大学マーストリヒトサステナビリティ研究所 Jan Konietzko教授が開発
- 循環戦略を、5戦略x3階層=51種の戦術に整理したカードデッキ
- 欧州にて大手企業を対象とした500回超のワークショップ開催実績
メンバーズのサーキュラーエコノミーへの今後の取り組み
サーキュラーエコノミーの推進ツールが欧州では数多く開発されているという。メンバーズでは、本ツールを開発したJan Konietzko教授、オランダ・マーストリヒト大学や関連する組織と密に連携し、今後も随時日本語化とサービス化を展開していくことで、国内企業のサーキュラーエコノミーを強く推進していくとした。
サーキュラーエコノミーは、環境負荷を減らしながら、企業のさらなる成長を実現(デカップリング)していくことで企業価値を創出する新たな戦略。戦略の実現化に向けた戦術のひとつがDXであり、メンバーズは戦略と戦術を重層的に提供することで、脱炭素時代のデジタルビジネス運用を支援していくと述べている。
メンバーズの「VISION2030」における社会課題「地球温暖化および気候変動による環境変化」への取り組み
メンバーズは、2030年の目指す姿として「VISION2030」を掲げ、その中で社会課題「地球温暖化および気候変動による環境変化」に着目し、解決に取り組むことを宣言。2021年6月にはこれらを定款に明記し、ステークホルダーと共に取り組むことで、人々の幸せや環境・社会と調和した脱炭素型で持続可能な経済モデル、ライフスタイルへの変革を通じて、世界の人々に心の豊かさを広げ、社会をより良くすることに貢献していくことを目指しているという。これらを実現すべくメンバーズでは、自社の事業活動や社員の消費活動においての脱炭素化を推進しているほか、企業とともに脱炭素化を実現するマーケティング事例創出にチャレンジしている。