顧客の“みたい”を軸に新たな事業価値を創出
コニカミノルタは2003年の設立後、3年ほどでコニカおよびミノルタの創業事業であった写真フィルム・カメラ事業から撤退。伊藤氏は当時を振り返り、「まさに生き残りを賭けた英断だった」と語る。統合以降、その傘下に7つの事業会社を持っていたが、2013年4月に経営体制再編でホールディング制を廃止し、「ワン・コニカミノルタ」として自社のコア技術やノウハウを結集し、「新しい市場に新しい価値を届ける事業」に参入した。
そして、再編以降3年ごとに中期計画を発表し、現在は「DX2022」が進行中だ。その中で「DXにより高収益なビジネスへと飛躍、そして真の社会課題解決企業へ」を2つの方針として展開。「デジタルワークプレイス」「プロフェッショナルプリント」「インダストリー(機能材料・計測機器)」「ヘルスケア」の4つの事業分野で連結売上高9,000億円を超え、世界中に約200万の顧客を擁し、その事業のすべてを支えているのが、4万人近い従業員と約150ヵ国に展開するセールス/サービス体制だ。
そうした多くの顧客に選ばれ続けるためにコニカミノルタが大切にしてきたDNAが、「顧客の様々な“みたい(見たい・観たい・診たい)”という想いに応え、人々の生きがいを実現しよう」という思想だ。
伊藤氏は、「カメラフィルムの製造をルーツとする当社は、画像の入出力や処理を中核とする独自のイメージング技術を培ってきた。これを受け継ぎ、お客様の潜在的な課題やリスクといった見えないものを“見える化”する技術として進化させることで、新たな価値を見出してきた」と語る。その言葉通り、近年では、介護士の業務の見える化、がんの兆候の見える化、もの作り工程での品質状況の見える化、ガス漏れやインフラ老朽化の見える化など、様々な見える化を実現させている。