ファーストリテイリングは、「LifeWear=サステナビリティ」第2回説明会を開催した。
説明会のはじめは、同社の取締役・グループ上席執行役員 柳井康治氏より、2021年12月に発表した「LifeWearという新しい産業を創出する」というビジョンに基づき、LifeWearとサービスの進化について説明があった。また、グループ執行役員である新田幸弘氏から、CO2削減、およびトレーサビリティの追求と透明性向上などの、主要な取り組みの進捗について詳説された。
そして、グローバル本部としての機能を強化する米国での人材育成およびダイバーシティ&インクルージョンの取り組みについて、グループ執行役員で、米国ファーストリテイリングの人事・法務を担うセレーナ・ペック氏から説明があった。
「LifeWearをより多くのお客様の手元に届けることが、世界中の人々の生活や社会をより豊かにすることにつながる事業活動のあり方を目指して、この1年、様々な取り組みを進めてきました。世界中のお客様の声に耳を傾けるなかで、RE.UNIQLO STUDIOのリペアサービスなどこれまでになかったサービスも生まれています。今後もお客様やパートナー企業様、NGOなどのステークホルダーとの対話や協働、連携を通して、LifeWearがあらゆる人にとってより良い生活と社会の基盤となるよう、さらに取り組みを加速してまいります」(株式会社ファーストリテイリング 取締役 グループ上席執行役員 柳井康治氏)
サステナビリティ主要領域における、ファーストリテイリングの2030年度目標に向けた主な取り組みの進捗は以下のとおり。
商品領域の主な取り組みと進捗
- ファーストリテイリンググループ全体で、全使用素材に対するリサイクル素材など、温室効果ガス排出量の少ない素材の使用割合は2022年の企画商品全体で5%に上昇し、2030年度までに50%とする目標に向けて進捗。ポリエステルについては、全使用量の約16%がリサイクルポリエステルに
- ユニクロの「ファーリーフリースフルジップジャケット」が2022年秋冬シーズンから、ペットボトルを中心としたリサイクルポリエステル100%に
- LifeWearを大切に長く着てもらうための新サービス「RE.UNIQLO STUDIO」を、9月に英国ロンドンのユニクロ リージェントストリート店に開設。国内でも10月22日から、ユニクロ世田谷千歳台店でトライアル開始。今後も国内外で展開拡大を目指す
CO2削減の主な取り組みと進捗
- 店舗・主要オフィス:2030年度までに、再生可能エネルギー100%への切り替え目標に対して、欧州、北米、ベトナム、インドネシア、タイのユニクロで実質再生可能エネルギー100%を達成
- サプライチェーン:ユニクロ・ジーユーの生産量の約9割を占める主要工場を対象に、省エネ施策、脱石炭の推進、再生可能エネルギーの導入を推進。取引先工場との定期的な対話を通じた課題解決により、削減計画を着実に推進
トレーサビリティの追求・透明性の向上
- 商品ごとのサプライチェーン計画と実績を確認する仕組みを構築。2022年秋冬シーズンから、工場と連携してシステム上で管理できる体制に
- 同時に、第3者によるトレーサビリティ確認プログラムも完成、運用を開始
- ユニクロは2023年春をめどに、紡績工場ともコードオブコンダクトを締結、定期的な労働環境およびトレーサビリティの監査を実施予定
- ユニクロの一部商品から開始したこれらの取り組みを、今後は全商品、グループブランドにも展開予定
- 透明性向上の取り組みも継続。工場リストの開示範囲をさらに拡大し、今後紡績工場も含めて開示を検討
労働環境モニタリングの手法を変革
- 2020年9月より、工場が主体的に労働環境のリスクや課題を把握し改善できる、アパレル業界共通の評価の仕組み「SLCP:Social and Labor Convergence Program(労働環境基準統合プログラム)」を段階的に導入。2023年度末までに、すべての縫製工場と、主要素材工場に導入完了予定
- 同時に、著しく人権を侵害する問題に対して厳正に対処する「ゼロトレランス方針」を採用し、人権や労働環境上のリスクの未然検知を強化
消費者への情報開示の拡大
- 2023年から、ユニクロのオンラインストアで個別商品のサプライチェーン情報を段階的に開示。2023年中に個別商品ページで縫製国の表示を開始、次段階では素材の生産国を開示予定
- 2025年までに、消費者が正しく商品を選択するために必要な情報を特定、順次開示
- 消費者に誤解を与えない正しい開示に向けて、必要な情報を把握するための仕組みの構築、検証を、専門家とともに推進
社会貢献活動
- 2022年度、社会貢献活動に88億円を拠出、698万着の衣料支援実施。受益者は749万人に
- 平和を願うユニクロのチャリティTシャツプロジェクト「PEACE FOR ALL」が始動。収益金は、人道支援活動を行う3団体(UNHCR、セーブ・ザ・チルドレン、プラン・インターナショナル)などに寄付される(2022年8月末までの収益金は総額1億4,500万円)。今後も取り組みを継続
- 世界で難民・避難民支援活動を拡大。欧州で、ウクライナから避難した人の雇用を推進、生活再建を支援。バングラデシュのロヒンギャ難民女性自立支援プロジェクトをUNHCRと共同で開始
- グローバルブランドアンバサダーとの次世代育成の取り組みを拡大。11月19日には、ロジャー・フェデラー選手が現役引退後、初来日し、ジュニアテニスセッションを開催予定
- ファーストリテイリング財団が、フィリピンの緑化植林活動を開始、3ヵ所で合計約20万本の植林を計画
ダイバーシティ&インクルージョンの推進
- 2030年度末までに、ファーストリテイリンググループ全体で女性管理職比率を50%とする目標に対し、2022年8月末時点で43.7%に上昇
- 障がい者雇用では、グローバルの雇用目標を設定し、取り組みを強化