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SMBCにデザインの価値を浸透させるために描いた4ステップ──インハウスデザイナー金子直樹氏に聞く

ゲスト:株式会社三井住友銀行 リテールIT戦略部 UI/UXデザイナー 金子直樹氏

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SMBCのデザイン組織、設立当初の苦労

──金子さんのSMBC入行前のご経歴に関して、お聞かせください。デザインは社会人になってから学んだそうですね。

 そうなんです。美大ではなく一般的な大学卒業後、新卒で入社した企業では法人営業をしていましたが、デザインに興味を持って独学で勉強しました。その後、2006年に知人とECサイトの運営とWebデザイン、アプリを手掛ける企業を立ち上げました。その仕事を続けるうちに、もっと領域を広げたいと思うようになり、デジタルマーケティング企業に入社し、Webサイトの企画・制作・運用業務を中心に、クリエイティブに近い仕事をしました。ただ、もともと事業会社でお客さんに近いところで仕事をしたいと思っていたので、2017年に三井住友銀行にインハウスデザイナーとして入行しました。

──その時点のインハウスデザインチームはどのような体制だったのでしょうか。

 2016年12月に1人目のデザイナーとして入行した金澤(金澤洋氏)がいて、私はその3ヵ月後に2人目として入行しました。その半年後に堀(堀祐子氏)が入行し、常駐の外部デザインパートナーさんとの4名体制で、初期フェーズは活動していました。部署としては、リテールIT戦略部というWebサイトやアプリの運用、デジタル中心の社内業務ツールの企画・制作・運用を行っている部署に所属しています。

──そもそも、なぜSMBCにおいてデザイナーを採用し、デザイン組織を作るという決定をされたのでしょうか。

 お客さまとの接点はそれまでご来店いただく店舗が中心でしたが、次第にアプリやWebでの接点を求められるようになってきました。さまざまな施策を実行するのに、外部パートナーにデザインを依頼していましたが、本格的にDXを推進するために、顧客体験設計を担うUXデザイナーを社員として採用しようという機運が高まったようです。

 ただ、具体的に何ができるのか、何をしてもらいたいのかがはっきり決まっているわけではなかったようで、最初はデザイナーが使う道具が揃っておらず、1人目に入行したデザイナーの金澤は、Macを購入するところから始めました。

──初期の苦労の一部が伝わってきますね。どうやってインハウスデザインチームの価値が浸透していったのでしょうか。

 まずは信頼を築いていくところから始めました。デザイナーというと、絵や見た目のデザインだけを作る人だと思われることが多いので。それなのに「カスタマージャーニーマップを作りましょう」「ユーザーテストをやりましょう」と言っても、その効果も価値も予測がつかないから、困惑されるのは当たり前です。

 そこで、絵や見た目のデザインを作ることを頼まれたら、その背景を必ず聞くようにしていきました。そして「だったら、こういった絵を作るのではなく、そもそもこの部分をこう変えたほうがいいんじゃないですか」などと提案していったのです。

 それによって、企画の上流から相談できるのがデザイナーだと信頼してもらい、UXデザインの意義が徐々にですが、わかってもらえるようになりました。その結果、相談ごとが増えてきて、デザイナーが関われる領域が増えていきました。

金子直樹
株式会社三井住友銀行 リテールIT戦略部 UI/UXデザイナー 金子直樹氏
2006年、知人と起業。ECサイトの運営や、Webサイト、スマホアプリの企画・制作を担当。その後デジタルマーケティング会社に入社し、Webサイトの企画・制作・運用業務を経て、17年、三井住友銀行に入行。UI/UXを専門領域として、既存サービスの改善や、新規プロダクトのデザインリードを担当。社内へのデザイン浸透も行っている。HCD-Net 人間中心設計スペシャリスト

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フェリックス清香(フェリックスサヤカ)

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