川崎フロンターレと示したeスポーツの可能性
──最初に会社や事業について教えてください。
加藤大貴氏(以下、加藤):私たちはeスポーツを通じて障がい者の社会参加を支援する会社で、「バリアフリーeスポーツ」の企画・運営・支援や、それに関する業務への障がい者の就労支援を行っています。また、それらの事業を通じて障がい者eスポーツのコミュニティを運営しているので、様々な企業や研究機関、自治体と連携した社会実証や研究開発への協力などを行っています。
eスポーツは、障がいの有無に関わらず誰でも参加できるスポーツで、また、コンピュータゲームの特性として、物理的な距離が離れていても対戦できたり協力できたりする点が特徴です。私たちは、eスポーツによって障がい者が障がいに関わらず社会との接点を持つことができ、また、障がいに関わらず観ている人の心を動かすことができると考えており、バリアフリーeスポーツを普及させようと活動しています。その一環で障がい者のeサッカーチーム「ePARAユナイテッド」の活動を支援しています。ePARAユナイテッドは、全員が日常生活で車椅子を使用する「車椅子eサッカー」のプレーヤーで構成されており、活動を通じてeスポーツの魅力や障がい者がeスポーツを通じて輝いている様子を発信しています。
──2月7日に開催された「11人制eサッカースタジアム- 車椅子イレブンがプロサッカー選手と創る『新しい景色』-」も、その一環として開催されたのですね。
加藤:そうですね。元々は、ePARAユナイテッドのGMを務める細貝(輝夫氏、ePARA CMO)や、選手の石井健瑠さんが川崎フロンターレに所属する小林悠選手のファンで、何かご一緒したいという想いを持っていたところからスタートしました。特に石井さんは川崎市出身で、5年前に川崎フロンターレが実施した商店街の挨拶回りで小林悠選手と一緒に写真を撮ったことがあるという縁もあり、この企画に対して強い熱意を持っていました。私たちとしては、石井さんの熱意を応援するためにもこの企画を形にしようと進め、選手やクラブからのご理解ご協力も得られたこともあり、2月の開催に至りました。
──プロスポーツクラブやプロスポーツ選手がバリアフリーeスポーツのイベントに協力するのは珍しいことだと思いますが、川崎フロンターレ側の反応はいかがでしたか。
加藤:プロスポーツ選手とのイベントとしては、千葉ロッテマリーンズに所属する中村奨吾選手からご寄付をいただき、ZOZOマリンスタジアムのグラウンドで贈呈式を行ったことがあります。ただ、プロスポーツ選手とゲームを一緒にやるのは初めてで、イベントとして成立するの心配でした。ありがたいことに、会場を装飾するための横断幕を貸していただいたり、サポーターにお声がけいただいてチャント(応援歌)のご指導をいただいたり、情報発信していただいたりと、当日だけでなくイベント前後でも川崎フロンターレさんからは大きな後押しをいただくことができ、当初予想していたよりも大きな規模となったイベントを成功させることができました。
小林悠選手はイベント前に全治8週間以上の怪我をされている中での参加だったのですが、「老若男女障がいの有無に関わらず一緒にプレーできるeスポーツに可能性を感じた。今後は広めるようにもっと関わっていきたい」という感想をいただくことができました。
また、川崎フロンターレさんからは今後もバリアフリーeスポーツに協力いただけることになりました。7月16日に開催される「2023ファン感謝デー」内で、特別企画として川崎フロンターレの選手やクラブスタッフとePARAユナイテッドの選手、そしてファン・サポーター代表がチームとして『eFootball』をプレイすることがきまったのです[1]。
[1] 株式会社ePARA「川崎フロンターレ「2023ファン感謝デー特別企画FOOTBALL TOGETHER Powered by eFootball™️」に協力・出演します」