EYは、M&Aに関する調査レポート「The CEO Outlook Pulse January 2023」を発表した。
同調査は、EYがグローバルで活躍する企業のCEOに調査を行い、1,200人(日本70人)の回答を分析し、今後の見通し、課題、そしてビジネスチャンスなどに関する意識を調査したもの。
同調査によれば、CEOの98%(日本99%)が景気後退に備えているものの、その期間や深刻さに関する予測においては意見が分かれているという。グローバル全体のマクロ経済に関する回答を見ると、深刻さは中程度と考えているCEOが48%、重大な深刻さとの回答が50%となっている。
日本企業のみの結果を見ると、CEOの74%が自社の運営拠点における深刻な景気後退に備えていると回答。ただし、その期間については一時的と考えているとの回答が41%になった一方、中長期的との回答も33%と、多くのリーダーがこれまでの経験値から景気後退への予測が難しい現状が明らかになったとしている。
また、グローバル全体のCEOの28%(日本29%)が、投資計画変更の主な理由として、制限の多い法規制および貿易・投資関連政策を挙げているという。投資計画変更の主な理由が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連の課題(全体19%、日本16%)を上回るのは、2020年以来初めてだとしている。地政学的理由により、CEOの97%(日本97%)が計画を見直しており、44%(日本36%)が計画していた投資を延期。サプライチェーンの見直しを行ったとの回答が41%(日本36%)、また、32%(日本31%)が、計画された投資を一時中断しているという(複数回答)。
加えて、CEOの32%(日本34%)が、自社の将来成長に対する最大のリスクとして、金融政策の方向性の不透明さ、投入価格の上昇(全体31%、日本36%)を挙げている。また日本を含むアジア・パシフィック地域のCEOが、コロナ関連の不透明性を最大のリスクと考える割合は、前回の調査から大きく減少したという(日本の結果2022年10月調査時の44%から21%へ減少)。
CEOは自社成長の手段としてディール締結およびサステナビリティ、人材への投資に注目
同調査に回答したCEOの89%(日本企業94%)にとっては、今後1年間で何らかのディールを成立させることが引き続き優先事項に。こうしたCEOの46%(日本40%)はM&Aを、58%(日本47%)はジョイントベンチャーまたは戦略的提携を、34%(日本27%)はダイベストメントを推し進める計画だとしている。
CEOの39%(31%)は、戦略およびサービス提供のコアとして、ネットゼロや他の環境的・社会的優先事項を含むサステナビリティへの投資を増やす計画だという。加えてCEOの36%(日本34%)が、従業員のウェルビーイングやスキル開発を含む、人材への投資を増加させる計画だとしている。また、70%(日本75%)が、従業員の離職を減らし、新たな人材を引きつけるために最も重要なのが、フレキシブルな働き方であることに同意していると述べている。