ソニーグループのデザイン組織の“守備範囲”
最初に登場したのは、ソニーグループでクリエイティブセンター 副センター長 コーポレートデザイン部門 部門長を務める前川徹郎氏だ。
ソニーグループは主に6つの事業領域から構成されており、これらのグループ本社機能に特化した組織がソニーグループ株式会社である。
クリエイティブセンターはこのソニーグループに所属する組織で、その母体となるデザイン室は1961年に設立されている。初代のデザイン室長はソニー5代目トップの大賀典雄氏だ。
またソニーグループでは、竹やサトウキビ、市場回収リサイクルペーパーを原材料とした紙素材「オリジナルブレンドマテリアル」を開発。この素材を使用したパッケージは、分別せずに他の紙類と一緒に回収に出すことが可能なため、リサイクルのしやすさにつながっている。 またパンダが食べない竹を原材料に選ぶなど、後述するフィールドリサーチの観点からデザイナーが環境に配慮したデザインにもかなり深く関わっている。
ソニーグループのデザインはグループ企業だけでなく、社外にも活かされている。その役割を担うのがソニーグループの子会社で、2020年に設立されたソニーデザインコンサルティングだ。愛媛県愛南町が全国一の生産量を誇る河内晩柑(かわちばんかん)の欧州向けブランディングや、情報通信研究機構(NICT)のコンセプトムービー、e-Sportsをテーマにしたエンターテインメント施設や、特許庁関連のI-OPENプロジェクトの企画運営サポートなど、官民様々なプロジェクトを手掛けている。
続いて登場したのは、クリエイティブセンター コーポレートデザイン部門プランニング&プロモーショングループ 統括部長の大野茂幹氏だ。大野氏からは主に「デザインワークのためのリサーチ」と「未来トレンド把握のためのリサーチ」について、クリエイティブセンターのデザインリサーチの観点から説明がなされた。