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デザインと理念経営

パナソニック臼井氏とBIOTOPE佐宗氏が語る、“渡り鳥の群れ”に学ぶデザインで組織を未来へ導く方法

【前編】ゲスト:パナソニック ホールディングス株式会社 執行役員 デザイン担当・臼井重雄氏

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 パナソニック ホールディングス株式会社は、2021年から独自のデザイン経営プログラム「デザイン経営実践プロジェクト」を展開し、ホールディングス内の各事業部門において未来に向けた長期戦略の策定支援などを行っている。プロジェクトの支援チームをリードしたのは、パナソニック史上初めてデザイナー出身として執行役員に就任した臼井重雄氏だ。臼井氏ら支援チームは、いかにして30以上の事業部で構成される巨大組織で、未来に向けたビジョンを描こうとしているのか。そして、そのなかでデザインはどのような役割を担っているのか。『理念経営2.0』(ダイヤモンド社)の著者であり、デザイン経営実践プロジェクトの支援も手がけた株式会社BIOTOPE代表の佐宗邦威氏とともにプロジェクトの過程を振り返ってもらった。

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ホールディングスと事業会社で求められるデザインの役割の違い

佐宗邦威氏(以下、敬称略):臼井さんとは、2021年の「デザイン経営実践プロジェクト」立ち上げの構想のフェーズからBIOTOPEとしてご一緒させていただいていますね。本日は2年間伴走してきたからこそ語れるプロジェクトでの現場のリアリティを深掘りしつつ、チャレンジや苦労をお伺いしたいと思いますが、改めて今のお立場を教えていただけますか。

臼井重雄氏(以下、敬称略):今は二つの仕事をしていて、パナソニック ホールディングスの執行役員デザイン担当とホールディングス傘下のパナソニック株式会社の執行役員CCXO(チーフ・カスタマーエクスペリエンス・オフィサー)を兼任しています。パナソニック ホールディングスではホールディングス全体のデザインの統括、パナソニック株式会社では社内のデザインとブランド・コミュニケーションを担当するといった位置付けですね。

佐宗:ホールディングスと傘下の事業会社の両方でデザイン経営を実践しているわけですね。

臼井:ただ、ここが面白いところだと思いますが、ホールディングス側と事業会社側では求められている「デザイン」の意味合いがやや異なるんですよ。私がホールディングスの執行役員デザイン担当に就くときに、楠見(雄規氏、パナソニック ホールディングス 代表取締役 社長執行役員 グループCEO)に伝えられたのは「君の役割は色や形のデザインではなく、思考のデザインだ」ということでした。経営にデザイナーの思考プロセスを取り入れる、いわゆるデザイン思考の取り組みが私の役目だと。

 一方で、パナソニック株式会社の品田(正弘氏、パナソニック株式会社 代表取締役 社長執行役員CEO)には「顧客視点の活動をドライブする役割を担ってほしい」と言われました。顧客視点を捉えて、人を惹きつける色や形を作り出すデザインの力に期待していると。つまり、ホールディングス側ではデザイン思考が、事業会社側では従来ながらの物理的なプロダクトのデザインに加えて、顧客視点でのデザインが求められています。

 正直なところ、当初は「同時に別々の仕事をするのは難易度が高いな……」と思っていたんですが、やってみるごとにその意味を実感し始めました。ホールディングス側で考案したメソッドを事業会社で適応できるので、理論と実践のフィードバックループを描けましたし、二人の社長をつなぐ重要な役割も担っていたので。

佐宗:臼井さんは、デザイナー出身としてパナソニック史上初めて執行役員に就任するなど、組織内のデザインの価値を向上させてきた存在ですよね。臼井さんの活動を通じて、パナソニックにおけるデザインの役割が、色や形を作る「狭義のデザイン」から、デザイン思考などの「広義のデザイン」に拡張していったのがわかりますね。

臼井重雄
パナソニック ホールディングス株式会社 執行役員 デザイン担当
兼 パナソニック株式会社 執行役員 チーフ・カスタマーエクスペリエンス・オフィサー デザイン担当、ブランド・コミュニケーション担当 臼井重雄氏

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この記事の著者

島袋 龍太(シマブクロ リュウタ)

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