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組織戦略としてのデータとCX

デジタル庁樫田氏に聞く、データ分析組織にとって大切な「構造理解と融和的な振る舞い」とは

【前編】ゲスト:デジタル庁 Head of Unit, Fact & Data 樫田光氏

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専門性はビジネスで活かせなければ意味がない

──一見、外資系コンサルファーム、データコンサルティングファーム、メルカリ、デジタル庁とバラバラのようなキャリアに見えていましたが、一貫性があるというかつながっていますね。

 私はもともとリアリストなのかもしれません。コンサル業界にいた身ではありますが、プレゼンがいかに華々しくてロジカルであっても、その提案がほんとうの意味で役に立ったのかどうかが気になってしまうタイプです。相手が腹に落ちて、感動して、実行したいと考えていなければ、そのプレゼンはクライアントの事業に役立ちません。

 同様に、データ分析という専門性を持っているだけではほとんどと言っていいほど無価値です。それが活きる場所を見つけることが必要です。「いい素材ならそのまま食べても美味しい」がすべてに適用できるわけがありません。世の中のほとんどのものは適切に調理しなければ美味しくないのです。おそらくこれまでのキャリアでも、データ分析の技術や手法ではなく、どう組織や事業に活かすかを軸に、仕事を考えてきたと思います。

樫田光
デジタル庁 Head of Unit, Fact & Data 樫田光氏

組織にどうデータ分析が貢献できるかを起点に思考する

──データ分析組織を立ち上げる初期の活動で特に大切にされていたことはあります。

 新しい組織でデータ分析を始める際には、まず事業と組織について高い解像度で全体像を理解する必要があります。そうでなければ、データの価値がレバレッジする場所がそもそも見えてきません。これは、企業規模に関わらず必要なことです。私自身も、メルカリでもデジタル庁でも最初の三ヶ月くらいは主に全体像を理解し描くことに時間を割いていました。

 まず小さく動いて、事実を集め、その事実をもとにさらに動いて、大きな事実を集める。そうして、全体像を自分で作っていく。しかし、いきなり細部まで作ろうとするとうまくいきません。だからこそ、少しずつ作り、周囲にフィードバックをもらいながらブラッシュアップしていきます。リーンに作るという言い方ができるかもしれません。

──データ分析組織を拡大させる過程で他に効果的だったことはありますか。

 データ分析はいかようにでも使えるからこそ、特に立ち上げ時期にはベストな使い方を自分で見つけなければなりません。というのも、データ分析組織はデータの使い道を考えないままに組成されるのが残念ながら常です。なんとなく「データ分析を始めるべきだ」と経営層が判断しチームが組成されることも多い。そのため、担当者が入社するときには、職務上のゴールはまず決まっていません。仮にチームのミッションが与えられていたとしても、それが妥当かどうかは健全な疑いの目をもってかかる必要があります。

 だからこそ、まずは組織全体に対してデータ分析が貢献できるスコープを見つけ、チーム全体がその方向に歩くように組織をリードする。これこそ価値が高く、重要な動きです。それがデータ分析組織の活動初期のほぼすべてと言ってもいいでしょう。貢献の仕方を正しく見極められていれば、いずれ結果が得られ、チームが役に立つことを証明できます。そこで初めてデータ分析の専門性を発揮する土壌が整う。こうした流れを理解するのが重要です。

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組織の中でデータ分析の需要と供給をともに確保する

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この記事の著者

雨宮 進(アメミヤ ススム)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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